6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

自己効力感とは?

自己効力感(self-efficacy)

 自己効力感(self-efficacy)とは、「ある文化の中で、場面に応じた適切な行動がとれる自信」(八代ら 1998:258)のことです。例えば、自国を出て他国で生活することになった場合、ことばの壁などで一人でどこかに行くのも、スーパーで買い物するのも、レストランでご飯を食べるのも苦労し、どうしていいか分からなくなったり、それらをするのに多くの時間がかかったりして無力感を感じることがあります。このような自己効力感が低い状態が長く続いてしまうとカルチャー・ショックを深刻化させることになります。異文化での自己効力感を高めると異文化でのストレス軽減につながるとされています。そのためには現地のことばを学び、現地の人々と接触する機会を増やすなどして異文化の環境を学んで慣れる必要があります。

 自己効力感という用語は異文化コミュニケーションの分野だけでなく教育でも用いられます。学習に対して自分はできるという自己効力感が高ければ、学習によって自分はもっと成長できるという状態に至り、学習者の知的好奇心や動機づけが高まるようになります。もし学習に対する自己効力感が低ければ教師からの励ましが必要になりますが、「その際には、教師の言葉が表面上のものではなく、どれだけ心の深いところから発せられているかが問われます」(中西 2020:43)。

参考文献

 中西洋介(2020)『反転授業の実践知――ICT教育を活かす「新しい学び」21の提言』41-44頁.明石書店
 広石英記(2014)『教育方法論』一藝社,114頁
 八代京子,町惠理子,小池浩子,磯貝友子(1998)『異文化トレーニング―ボーダレス社会を生きる』258-259頁.三修社




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