令和7年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題9解説
問1 キーワード法
キーワード法とは、目標言語の覚えたい語と音韻的に類似した母語の言葉のイメージと結びつけ、その関連性によって語とその意味を記憶する記憶術のことです。例えば空港を表す中国語の「机场」、これはちょうど日本語の「じーちゃん」と同じような発音をします。この音が類似していることを利用して、空港のおじいちゃんがいるイメージをしながら関連させて覚える。こういうのがキーワード法です。
1 忘却を防ぐために何度も口ずさむのは維持リハーサルっぽい
2 補償ストラテジーっぽい戦略
3 これがキーワード法
4 チャンキング的な? 認知ストラテジーっぽい
答えは3です。
問2 チャンキング
電話番号「XXX-YYYY-ZZZZ」を覚えるときに3桁、4桁、4桁という区切りで覚えるんですが、これは数字を一つひとつ覚えるよりも、あるまとまりに分けて一つとして扱ったほうが覚えやすいからです。このようなまとまりをチャンクと呼びます。数字9つを9チャンクに分けて覚えるよりも、3桁、4桁、4桁の3チャンクに分けたほうが覚えやすくなりますね。このようにチャンクを作って覚える記憶術をチャンキングと言います。
1 ???
2 これが答え
3 一つひとつの語ではなく、かたまり(チャンク)単位で言語処理を行うのがチャンキング。この選択肢は間違い。
4 スキーマが活性化される、とかそういう類のやつ
答えは2です。
問3 短期記憶
選択肢1
半永久的に貯蔵されるのは長期記憶。この選択肢は間違い。
選択肢2
既知情報を取り出して情報処理を行うような記憶領域はワーキングメモリですね。短期記憶は記憶する機能だけを持っていると考えられており、情報処理の機能はありません。この選択肢は間違い。
選択肢3
いわゆるカルテルパーティー効果。ガヤガヤうるさいところでも興味ある話だけは聞こえちゃうみたいな現象。
選択肢4
これが答え。従来の人間の情報処理モデルによれば、感覚器官でとらえた刺激は感覚記憶に貯蔵されますが、感覚記憶に貯蔵された情報の中で注意を向けたものだけが短期記憶に送られると考えます。
答えは4です。
問4 手続き的記憶
長期記憶に貯蔵されている記憶は、言語化できる宣言的記憶と、言語化できない(しにくい)非宣言的記憶に分けられます。このうち、非宣言的記憶に手続き的記憶というのが含まれ、例えば自転車の乗り方とか、運動における身のこなし方とかの記憶のことです。これらの記憶は口にして説明することができないですが、説明できないからといってそれができないわけではない、という不思議な記憶なんですね。
選択肢1
例えば日本語学習者が、相手に感謝を伝えるときに「おかげさまで」を使うんだと覚えていれば、感謝を伝える場面で「おかげさまで合格しました」のように適切に使えるようになります。ここで重要なのは、「おかげ」が何かを理解していなくても使えているということです。説明はできなくても使うことができる、というのが手続き的記憶の特徴ですね。この選択肢が答え。
選択肢2
「徹夜」は「寝ていない」という意味であることが説明できるからこのような思考をするわけで、これは手続き的記憶ではなく、宣言的記憶に含まれる意味記憶の例です。
選択肢3
「すみません」がいろんな場面で使われることを理解しているので、「ごめんなさい」の意味もあれば呼びかけの意味もあるなど、ちゃんと意味も理解していることがうかがえます。これは意味記憶。
選択肢4
活用規則が頭の中にあり、説明させれば説明できる状態にあると考えられます。だから「暑い」の否定形は「暑くないです」であると分かる。これは意味記憶。
答えは1です。
問5 スクリプト
ここでいうスクリプトとは、人が持っている一連の出来事の典型的な順序に関する知識のことです。
例えば、銭湯に行ったら靴を靴箱に入れて番台にお金を払い、更衣室に入って脱いだ服をカゴに入れ、浴場に入ったらまずお尻を洗い… という銭湯に関する一連の順序を知っています。しかし、はじめて銭湯に来た外国人にはそのような銭湯のスクリプトがありません。なので…もしかしたら「浴場に入り、お尻を洗った」という文章をそういう外国人が読んだら、なぜお尻を洗ったのか内容を正しく理解できない可能性があります。文章を理解するとき、スクリプトは役立っています。
1 ???
2 順序に関する知識、これがスクリプト
3 直示表現
4 ???
答えは2です。

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