令和7年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説
問1 多読
古川・上田(2010: 22-26)は楽しく多読を続けるための三原則を挙げています。
第一原則 辞書は引かない
第二原則 わからないところはとばす
第三原則 つまらなければやめる
これは問題を解くときに役立ちそう。
1 第一原則によれば、多読では辞書は引きません。これは間違い。
2 これが答え。
3 第二原則にしたがい、わからないところは飛ばすので、語彙リストは不要。
4 たくさん読むことを目的とするから、単語カードなんか作らない。
異なる文脈で同じ単語を何度も目にすることで、その単語の意味が分かるようになるかも?というのがこの ア で述べられている内容でした。
答えは2です。
参考文献:古川昭夫・上田敦子(2010)『英語多読入門』22-26.コスモピア
問2 多読の効果的な実践
選択肢1
違います。多読は自分が読みたいものを読む活動なので、教師の指示によって読み物が決まるようなことはダメです。これは間違い。
選択肢2
楽しく読むことが重要だから内容に注目して読んだほうがいいですね。言語面に注意を払っていると楽しく読めない。これは間違い。
選択肢3
これが答え。自分の読みたいものを自由に選びます。それがだめだったら次の本を選べばいいです。
選択肢4
多読は次々どんどん読んでいく活動だから、ゆっくり読むのとは違います。これは間違い。
答えは3です。
問3 理解のしやすさ
選択肢1
母語話者向けに書かれたものはあくまで母語話者向けなので… それが学習者にとって読みやすいかと言われると否定的です。小学校くらいの読み物なら初級の学習者にも読めるような気はしますけど、中学校、高校にもなるともう無理だと思う。この選択肢は間違い。
選択肢2
ここでいう「段階別読み物」とは、段階に応じて語彙・文法が制限されている読み物のことです。多読においては、このレベルの読み物ではこのくらいの語彙・文法を使いますよ、みたいなレベル分けがされています。
さて、小説を読むには高度な能力が要ります。コンテクストから切り離された状態で、場独立的に内容を理解し、登場人物の心理描写もあれば、状況描写もあり、時には母語話者でも瞬間的に理解しにくいような比喩表現に出会うかもしれません。比較的容易に理解できるかどうかがかなり疑問です。
選択肢3
私は、ショートショートは独特なアイディアから生み出される不思議な世界観でストーリーが進むイメージがあるので、非現実的な場面を取り上げられやすい点からいうと、状況設定は理解しにくいのではないかと思います。
選択肢4
これが答え。文字だけではなく絵があれば理解の助けになります。
答えは4です。
問4 読書記録
選択肢1
せっかく読書記録させるなら、誰が書いた本で、本の名前は何で、簡単にどんな内容だったか、そして自分がどう思ったかなどと記録させる項目をある程度指定したほうがいいと思います。はじめて記録するなら何を記録すればいいか分からないかもしれないので。この選択肢は不適当。
選択肢2
正しいです。記録をもとに、次の段階の本をおすすめしたりできます。
選択肢3
確かに興味や関心を把握するのには使えますが… ここでは言語教育で用いる多読の話をしていますから、記録はもっぱら次に読めそうな本をおすすめしたりするための情報源として使います。
選択肢4
多読は楽しくないといけないですから、まとまった量の読書感想文を書かせるのはたぶん苦痛になるでしょう。これはいけない。
答えは2です。
問5 多聴
選択肢1
たくさん聞く活動なんで、視覚に頼るのは間違い。これが答え。
選択肢2
ちゃんと聞こえるようにイヤホンがあったほうがいい。これは間違い。
選択肢3
いろんな内容のを聞いた方がいいので、ジャンルは固定しないほうがいい。これは間違い。
選択肢4
細かい部分に集中して聞くと精聴になっちゃうのでこの選択肢は間違い。
答えは1です。

コメント
コメント一覧 (1件)
解説ありがとうございます。
多聴の問題ですが答えは2だと思います。
イヤホンを使うのは、雑音で集中力が切れそうだと思う人がするに過ぎないと思います。
実際にスマホやパソコン、スピーカーから音を流すのも多聴と言えますし、イヤホンは必須要件ではないと思います。