11月14日の毎日のんびり勉強会のテーマは「使役文とは?」。誰でも参加可! 詳しくはこちら

令和4年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題2(5)解説

令和4年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題2(5)解説

(5)「うれしいです」

 「私はとても嬉しいです」とは言えるけど、「あなたはとても嬉しいです」とは言えません。なぜなら「嬉しい」という感情はその人にしか分からないことで、基本的には他人の感情は断言できないからです。そこで「嬉しいようです」「嬉しそうです」「嬉しがっています」など、こういったモダリティ表現をつけて情報の出どころを示し、他の人の感情・感覚を表す必要があります。

 この場合、話し手は妹の感情を完璧に理解することはできないので、本来は「うれしいようです」などと言ったほうがいい。だから「~ようです」で全体的に訂正できるか試してみます。

 1 ✕母は、タイ料理大好きのようです
 2 〇弟は、新しいパソコンを買いたいようです
 3 〇父は、背中がずきずき痛いようです
 4 〇兄は、景気が良くなると思っているようです

 「~ようです」をつけただけでは選択肢1を訂正しきることはできませんでした。選択肢1は述語「大好き」の対象を「が」で表さないといけないのに、「を」で表しています。「タイ料理大好き」と言わないといけません。

 つまり、選択肢1は「ようです」以外にも格助詞の誤りが見られます。
 だから答えは1です。




コメント

コメント一覧 (1件)

  • どこよりも早い解説付きの解答例を提示していただき、ありがとうございます。

    この問題についてですが、私も高橋さんと同じように第三者の感情・感覚に対して断言してしまっている誤りが共通点だと思いました。
    例文は、「うれしがっている」
    (2)は「買いたがっている」
    (3)は「痛がっている」
    (4)は「思っています」
    と、第三者の感情・感覚を表すための様態の表現が必要だけれども、
    (1)は「タイ料理が大好き」が正しい文で、これだけ格助詞の誤りではないかと思い、(1)を選びました。
    ただ、「好き」がガ格なのか、ヲ格なのかは揺れが出始めているようで、格助詞の間違いだと明確には言えないのかなと思ってもいます。
    そうなると、高橋さんの検証方法が正しいと思いますが……難しい。

コメントする