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平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

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平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

問1 OPI(Oral Proficiency Interview)

 OPI(Oral Proficiency Interview)とは、ACTFLが開発した外国語の口頭表現能力を測定するための試験です。タスクと機能、場面/話題、正確さ、テキストの型の4つの基準からレベルを判定します。受験者のレベルの下限と上限を見極めるために難易度を調整しながら行われるのが特徴で、30分間の試験ではインタビューやロールプレイなどを行います。

 1 正しいです! OPIはACTFLが開発した試験で、英語、スペイン語、ロシア語、日本語、韓国語などの試験があります。
 2 タスクと機能、場面/話題、正確さ、テキストの型の4つの基準からレベルを判定します。
 3 「超級、上級、中級、初級」という4つの主要レベルがあります。
 4 インタビューやロールプレイなどを行います。プレゼンテーションは行いません。

 答えは1です。

問2 ロールプレイ

 ロールプレイとは、会話の目的や役割、状況を明示して、その役割に応じた会話をグループで進める活動のことです。

選択肢1

 ロールプレイは滑らかさを重視した活動なので、先生は間違いをロールプレイ中に指摘することはありません。ロールプレイ中は映画の上映中みたいなものなので普通先生は見てるだけ。ロールプレイ後にフィードバックを行います。

選択肢2

 正しいです。いちいち修正して進行を中断するとよくないので。
 選択肢1の解説と関連しています。

選択肢3

 間違えても中断せずそのまま続けます。
 ロールプレイは今の言語能力を使って何か目的を達成しようとする活動で、普通ロールプレイの中には障害があります。その障害をどうにかして乗り越えるためにやらせているわけですから、間違ったりしてもとりあえず見守ってあげてどうやって乗り越えるかを体験させたほうがいいです。

選択肢4

 行き詰まった場合でも他の学習者に交替させることはなかなかありません。行き詰った場面でどう振る舞ってタスクを遂行させるかを考えさせるためにロールプレイを行っているからです。でもまあ学生が本当に困って泣いたりしちゃったらさすがに交替させるでしょうね、現実的には…

 答えは2です。

問3 先にロールプレイをさせる目的

 普通のロールプレイはまず先生が文型などを導入したあとにロールプレイをやります。このスタイルを山内(1999)は文型先行型ロールプレイと呼んでいます。対して順序を逆にし、先のロールプレイを行った後に文型などを導入するスタイルをタスク先行型ロールプレイと呼びます。

 タスクを先行させる目的は言語的挫折を体験させるためです。まずロールプレイを行うことで自分がどこまで表現することができて、どこから表現できないのかを知ることができます。何が言えないか、できないかが分かれば、それを克服するための学習意欲が高まり、そうして表現の練習をすることでより定着が期待できるってわけです。

 1 違います
 2 違います
 3 違います
 4 これが答え

 答えは4です。

 参考文献:山内博之(1999)「タスク先行型ロールプレイの実践方法について」『岡山大学文学部紀要』第32号.107-116頁,岡山大学文学部

問4 OPIにおける中級から上級に向かう学習者を対象としたロールカードの内容

 初級、中級、上級の区切りはなかなか難しいんですが、一つのポイントとして敬語などの待遇表現があげられます。初級だと難しいのでなかなか扱えませんが、中級になると語レベルで多少は、上級になったら談話レベルで扱えるようになるのが望ましいです。この問題も「敬語」の観点から見てみましょう。

 1 相手が担当者で敬語が必要になるから上級っぽい
 2 面識のない先生には敬語が必要だから上級かな
 3 学生代表としてパーティでスピーチするのは日常にない言葉を使うので上級っぽい
 4 相手が友達だから多少は難易度が低め。これが中上級で答え。

 したがって答えは4です。

問5 タスク先行型の会話指導を行う際の留意点

 タスク先行型ロールプレイは問3にも出てきてます。これは先にタスクをやらせて自分ができないことを体験してもらうのが目的です。できないことに気付いたら、そこでどうすれば良かったのか反省させたり、もっと勉強しないとみたいなやる気、モチベーションにもつながります。

選択肢1

 タスク先行型ロールプレイは学習者に役割を与えてじゃあやってください!って感じでやります。でも実際にロールプレイをやる前に学習者には準備してもらう時間を与えます。その段階で教師は文型、語彙など導入しません。とりあえず学習者の力でタスクをこなしてもらいます。
 「自然に出現した表現」とは学習者が発した表現のことだと思いますが、それは必ずしも正しい表現、自然な表現とは限らないので練習に向いていません。自然な表現はロールプレイの後に先生が教えます。
 この選択肢は間違いです。

選択肢2

 タスク先行型は自分の言語能力の限界に気付かせるために行うので、既習の語と表現だけでタスクを遂行できるようなトピックは扱うべきではありません。未習のものも含めて「できない」を経験させたほうがいいです。この選択肢は間違い。

選択肢3

 ロールカードに書かれる内容が複雑になる場合は、学習者の母語で書いてもいいとされています。なぜならロールカードが理解できなければロールプレイに支障をきたすからです。 これがkと合え。

選択肢4

 Yes/No疑問文よりもWH疑問文の方がやり取りとして難しいので、学習者に「できない」を経験させやすいです。Yes/No中心だとよくないから間違い。

 よって答えは3です。




コメント

コメント一覧 (7件)

  • いつも拝見しております。
    ACTFLOPIですが、webサイトには「卓越級(ディスティングイッシュ)」、「超級」、「上級」、「中級」、「初級」の5つと表記があります。
    他の参考書にも卓越級の記載がないのですが、なぜなのでしょうか。

    • >みんみんさん
      コメントありがとうございます。
      「卓越級」の記載はどちらのサイトに書かれていますでしょうか。

    • 問題5の答えなんですが、内容が複雑になる場合は「母語で書いてもいい」と書いていました。
      これは内容がわかりにくい、またはややこしいかな等の箇所だけを母語に書くということですか?

  • いつもこちらのサイトを頼りに勉強させて頂いております。
    みんみんさんご指摘の「卓越級」は、
    問4の解説最後にご案内頂いている
    「参考:スピーキング | American Council on the Teaching of Foreign Languages」
    のページのトップにその記載があります。
    ~~~まえがき
    ACTFL言語運用能力ガイドライン2012年版–スピーキングは、運用能力の五つの主要レベル—「卓越級(ディスティングイッシュ)」、「超級」、「上級」、「中級」、「初級」—を定めている。各主要レベルの記述は、一定の幅を持つ能力の代表的なものである。~~~

    ですので丁度、お尋ねしようかと考えていたところです。
    ご教授いただければありがたいです。

    • 問5ですが、正解がロールカードの裏に母語を書いてよいで、タスク先行型で事前に準備しないが不正解です。タスク先行型は、基本的には、先ずはやってみよう、やれなかったことに気づこうが主目的のものですが、不正解に値する準備とはどんなものでしょうか?正解のロールカード裏書きは、万一そういうことがあれば、やってもいいよレベルで重要度が低いのが正解というのが気になります。

      • >赤福大好きさん
        不正解に値する準備とは、ロールプレイで直面する問題に対する対処法を教えてしまうことです。それをしてしまったらタスク先行型ロールプレイをやる意味はありません。

        ロールカードには、「あなたはこういう役割です。目的はこれです」というような内容が書かれています。裏には(別に表でもいいですが)その翻訳が書かれています。それ以外の情報はありません。

  • いつもこちらのサイトに助けて頂いております。
    OPIのレベル判定については、私も気になっておりました。

    「卓越級(ディスティングイッシュ)」、「超級」、「上級」、「中級」、「初級」の5つとの表記が
    以下のサイトに書かれています。
    https://www.actfl.org/resources/actfl-proficiency-guidelines-2012/japanese/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0
    (表示して頂いた問4の参考URLをクリックするとこちらが表示されました)

    お応えいただけますと、大変ありがたく存じます。

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