平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(7)解説
(7)「うちに」の用法
「うちに」は後件に意志動詞が来る場合、「その短い時間を利用して~する」「その隙に~する」みたいなニュアンスが付属します。例えば「先生がいないうちに逃げる」「子供が寝ているうちに家事を済ませる」とか。
しかし無意志動詞の時はそのようなニュアンスはなく、代わりに「知らず知らずのうちに」みたいな意味を帯びます。「知らないうちにあざができてた」「話しているうちに眠気が襲ってきた」などなど。
というわけで、後件の意志・無意志を見てみます。
1 後件は無意志動詞
2 後件は意志動詞 (居眠りしている隙に片付けする)
3 後件は無意志動詞
4 後件は無意志動詞
5 後件は無意志動詞
選択肢2だけが違う用法です。
答えは2です。
コメント
コメント一覧 (3件)
1,3,4,5は因果関係?を示している、2は、単に「その時間に」だと思いました。
>町川さん
問題を見直してみたのですが、おっしゃる通り「~うちに」は時間を表す文法です。
正確に言いますと、ある状態が持続している期間を表します。
ちなみに「~うちに」は…
後件に意志動詞が来る場合、”その時間を利用して後件を行う”ことを表します。
後件に無意志動詞が来る場合はそのようなニュアンスはありません。
1 無意志動詞「なった」
2 意志動詞「片付けてしまった」
3 無意志動詞「晴れた」
4 無意志動詞「見えてきた」
5 無意志動詞「なってきた」
解説にも書いている通り、やはりこの違いから出題されているのではないかと思います。
補足です。因果関係というと少し言葉が適切でないというか、「うちに」のニュアンスを正確には表してなかったです。1,3,4,5は、「前項の結果、後項」「~したら、こうなった」ということですよね。
「勉強したから、中国語が話せるようになった」「ぼんやりしたから、気分も晴れた。」「大論戦をしたから、妥協点が見えてきた」「「取材をしたから、真相が明らかになった」
2は「居眠りしたから、仕事が片付いた」のでなく、「その時間に」ということなので、逆に「居眠りしているその時間に仕事を片づけた」とはいえても、「勉強しているその時間に、中国語が話せるようになった」「ぼんやりしてるその時間に、憂鬱だった気分も晴れた」・・・とはいえなくなります。
そう考えると1~5すべて「あいだに」といいかえて、違和感がないのは、「あいだに」には、単にその時間に、という以上の意味が含まれているということなのでしょうね。