平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題6解説
問1 JF日本語教育スタンダード
JF日本語教育スタンダードとは、コースデザインや授業、テストなどを決めるための枠組みです。ヨーロッパの言語教育が共通の基準で行われるように定められた、言語能力の測定基準を示したヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)を基準にして作られました。そしてこのJF日本語教育スタンダードは、日本語能力試験やBJTビジネス日本語能力テストなどの難易度を決める際に基準となってます。
選択肢1
Can-do Statementsとは、日本語学習者が現実のある場面において「できる」か「できない」かを回答させる質問票みたいなもののことです。日本語能力試験などで受験者に実施されたりしています。これは母語話者ではなく、非母語話者のコミュニケーション場面をモデルとしています。だから間違い。
選択肢2
正しいです。JF日本語教育スタンダードはコースデザイン、授業設計、評価を考えるための枠組みです。
選択肢3
A1、A2、B1、B2、C1、C2の6つのレベルがありますが、日本語能力試験のレベルを基にしているわけではありません。CEFRの共通参照レベルを基にしています。
選択肢4
コミュニケーション言語活動とコミュニケーション言語能力の関係を整理して「JFスタンダードの木」として図式化されています。その木はこちらで見られます。
答えは2です。
参考:日本語能力試験Can-do自己評価リスト(JLPT Can-do) | 日本語能力試験 JLPT
問2 話し合いのルール
ディスカッションは特定の答えのないテーマについて参加者で自分自身の意見を述べ合う活動のことです。
選択肢1
ディスカッションでは話す順番や展開などをあらかじめ決める必要はありません。話したい人が話をして、それについて他の人が話して… を繰り返して参加者なりの結論を導いていくことをしまs。
選択肢2
誰か何分話すかなどをあらかじめ決める必要はありません。
これはディベートのルールではないかと思われます。
選択肢3
これはディベートのルール。ディスカッションでは答えのないテーマを扱うので賛成の立場、反対の立場とかありません。想定される質問もないのでその答えを準備する必要もありません。
選択肢4
これが答え。昔この活動をさせたときに、「あなたは彼氏がいないでしょう」みたいな言い方で論破しようとした学生がいました。人格と結び付けてディスカッションすると変なことになってしまうのでそれは禁止。
答えは4です。
問3 学習者が話し合ってテーマを決める
ディスカッションのテーマは、できれば具体的な問題で考えうる解決策のようなものはいくつもあるけど、それでも確定的な答えがないようなテーマを選ぶといいです。
日本経済はどうすればいいんだろう?みたいなテーマは抽象的で大きすぎるので、もうちょっと議論の範囲を絞って「貧困層にどんな支援が必要だと思う?」みたいな具体的なテーマがいい。
選択肢1
社会問題や利害関係が対立しているテーマは答えのないテーマなのでディスカッションに向いています。
避ける必要なし。
選択肢2
個人的な話は避けるべきです。クラスをあげての人生相談になっちゃうかも。
選択肢3
ディスカッションでは答えのないテーマを扱います。結論が出ているテーマを扱うと議論の自由度が小さくなってダメ。
選択肢4
ディスカッションでは具体的なテーマを選ぶべきです。
よって答えは2です。
問4 ディスカッションの実施
選択肢1
討論者は議論の間、観察者に見られていることを意識する必要はなく、自由に討論に集中すべき。
選択肢2
討論者は他の討論者の言動を受けてどう思うかを話して議論を進めないといけないから、他の討論者の話を聞かないなんてことはダメ。
選択肢3
正しいです。態度、仕草などにも意味がある場合もあります。
選択肢4
観察者はあくまで観察に徹します。発言や態度の問題点は以後の振り返りで行います。
答えは3です。
問5 振り返り
選択肢1
議論の振り返りを行うなら、討論者だけでなくて観察者も含めていろんな話ができればいいと思う。この選択肢は正しい。
選択肢2
正しいです。観察者と討論者が友達だったら忌憚のない意見を言えるけど、あんまり人間関係が構築されていない状態だと当たり障りのない意見になったり、意見自体を言わないこともあったりします。関係の構築は授業にもいい影響を与えますけど、それは先生がどうこうできるものでもないので… 時間が解決するかな。
選択肢3
どのような話し合いの方法が良いのかなどについては触れるべきですが、討論者の主張が正しいかどうかについてコメントする必要はありません。ディスカッションでは参加者は自由な意見を述べることができます。これが答え。
選択肢4
正しいです。
答えは3です。
コメント
コメント一覧 (2件)
問1選択肢1に関してですが
母語話者のコミュニケーション場面をモデルとしているのならこれも正解になるのではないでしょうか?
>三郎さん
失礼いたしました!
非母語話者の誤りです。修正いたしました。