6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題12解説

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平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題12解説

問1 マルチリンガリズム

選択肢1

 自分の話し方を相手の話し方からできるだけ離していくことです。アコモデーション理論のやつですね。

選択肢2

 ダイグロシアとは、ある社会において異なる二つの言語が存在し、それぞれが場面や状況によって使い分けられている状態のことです。

選択肢3

 2言語使用はバイリンガリズム、3言語使用はトリリンガリズム、それ以上はマルチリンガリズムというのが細かい分類ですが、2言語使用をバイリンガリズム、3言語以上の使用をマルチリンガリズムと呼ぶ場合もあります。この問題は後者の定義に基づくものです。
 これが答え。

選択肢4

 2か国の文化的習慣・価値観・行動などを身に付けていること。

 したがって答えは3です。

問2 公用語とそれ以外の言語

 1 中央政府の公用語はヒンディー語、英語で複数あります。
 2 公用語は英語、マレー語、中国語、タミル語
 3 公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語
 4 公用語はフランス語のみ

 問題文では「公用語が1つあっても」と言っているので、公用語が1つしかないフランスが正解です。オック語、ピカルディ語などその他多くの言語が公用語ではないけど各地で使われています。
 答えは4です。

問3 スティグマ

選択肢1

 自分が他より劣っているという感情、劣等感のこと。

選択肢2

 事前準備を意味するprestage、特別なものを意味するprestigeがあります。どちらも日本語にするとプレステージだからどっちか特定できないんですけど… 言語学関係の用語ではなさそうです。

選択肢3

 スティグマは社会的に差別されることになる要因のこと。
 これが答え。

選択肢4

 してはならないとされているもの、あるいは何をしてはならない、何をすべきであるという決まり事のこと。

 答えは3です。

問4 言語復活

選択肢1

 ???

選択肢2

 言語の衰退を阻止して話者を増加させたり、消滅した言語を復活させること。

選択肢3

 言語の衰退を防止すること。

選択肢4

 ???

 答えは2です。

問5 アイヌ語

 問題文で出てきている「同化政策」とは、国内の支配民族が少数民族の言語や文化、生活様式などを圧殺し、自国民に同化させようとする政策のことです。日本でも明治以来一貫して同化政策が行われ、植民地時代の朝鮮人に日本語や改名を強制、またアイヌ文化やアイヌ語の使用を制限していました。

 答えは4です。




コメント

コメント一覧 (4件)

  • 今年の日本語教育能力検定試験を受験予定です。日本語の指導経験はありません。リタイア後、英語のツアーガイドをしておりますが、コロナで仕事が蒸発し、空き時間を利用しながら自習しています。受験対策のYouTubeやブログを見ながら、過去問に取り組んでいます。このブログを最も頼りにしています。
    敬語を含む文法と音声が課題です。特に敬語はなかなか尊敬語と謙譲語の見分けがつかなかったのですが、当ブログのご説明で良くわかりました。
    関連する情報がまとめられていてとても使いやすいです。リンクも充実していて重宝しております。今後ともよろしくお願いします。ブログのソフトは何をお使いでしょうか。将来の参考にしたいと考えております。

    • >中島さん
      コメントありがとうございます。管理人の高橋です。
      何か分からないことがありましたらコメントください。試験も近いですから、できるだけ早めに返信するようにしています。
      このサイトはwordpressで管理しています。サイトに関する知識がなくても使いやすいのでお勧めです!

  • 高橋先生
    お世話になります。
    平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題12解説、拝読いたしました。
    正解は選択肢3 「4つ以上の言語を使用することです。」と記載されていました。
    マルチリンガリズム(英語表記)multilingualism
    デジタル大辞泉 「マルチリンガリズム」には、「伝達の場面に応じて三つあるいはそれ以上の言語を使用すること。多言語使用。→バイリンガリズム」とありました。
    三つあるいはそれ以上の言語を使用すること。が正解でしょうか。
    よろしくお願いいたします。

    • >加藤さん
      狭義では2言語使用はバイリンガル、3言語使用はトリリンガル、それ以上はマルチリンガルと呼ぶと理解していますが、文献によっては2言語をバイリンガル、3言語以上をマルチリンガルと呼ぶものもあります。定義が定まっていないので、そちらの辞書には3つあるいはそれ以上と書かれているのでしょう。ここでは狭義で解説しています。

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