平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題11解説

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平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題11解説

問1 カルチャーショック

 カルチャーショックとは、馴染みのない文化圏に行ったときに起こる心身のストレス反応のことです。文化が違うほど求められる適応のレベルもあがるので、カルチャーショックもひどくなる傾向があります。

選択肢1

 同じ言語を使用する国に行ったとしても文化が違えばカルチャーショックが生じることもあります。例えば英語を使う国はたくさんありますが、言語は同じでも文化は違います。こういう場合のことです。

選択肢2

 海外渡航経験や滞在経験があれば慣れているのでカルチャーショックの程度を低減させられるかもしれません。また、年齢が高いとそれまでの自文化に馴染み過ぎて適応するのが大変になり、カルチャーショックが強まったりする可能性があります。性別もカルチャーショックと関係する要因の一つで、例えば治安が悪いところなら女性一人で行動することができなかったりしてカルチャーショックを受けるかもしれません。

選択肢3

 一般にカルチャーショックは外国に行ったときのことが例として挙げられますが、自国でもカルチャーショックが起きることがあります。例えば引っ越しで故郷から離れたりするときとか。この選択肢が答え。

選択肢4

 自然環境の違いなどから受けるストレスもカルチャーショックの一種です。

 答えは3です。

問2 カルチャーショックの要因

選択肢1

 正しいです。カルチャーショックは個人の反応で、いろんな要因から影響を受けます。

選択肢2

 「静的」が間違い。よく挙げられるUカーブ曲線は異文化適応過程を動的にとらえたものです。また、文化的・社会的要因、個人的要因からどの程度影響を受けるかは個人によります。同程度とは言えないです。この選択肢は間違い。

選択肢3

 帰国後正常に戻ることはありますけど、文化的・社会的要因、個人的要因のどちらの影響が大きいかはその人によります。この選択肢は間違い。

選択肢4

 全ての人が同程度、同様に経験するものではありませんが、文化的・社会的要因、個人的要因のどちらの影響が大きいかはその人によります。この選択肢は間違い。

 答えは1です。

問3 カルチャーショックの個人差

選択肢1

 新しい試みをためらわない人は異文化下での経験も多くなります。経験が多くなるとカルチャーショックも多くなるかもしれませんが、その代わりに経験を重ねて適応しやすくなります。「不適応になりやすい」というのが間違いです。

選択肢2

 一定の生活習慣パターンを維持しようとする人は異文化体験が少なくなるので適応しにくくなります。例えば、私は中国に行ってからもお風呂に浸かりたいと思っていたのにシャワーしかなくて困りましたけど、そうやってお風呂にこだわっているうちは不適応のまま。この選択肢は間違い。

選択肢3

 物事に対して即座に反応する人というのが良く分からないけど、つまりいろんなことを受け入れやすいってことかな。もしそうなら適応しやすいです。

選択肢4

 自分の考えや気持ちを表現する人は適応しやすいと思います。周囲の人に今思ってることを打ち明けると助けてくれるかもしれないですし。

 答えは2です。

問4 Uカーブ曲線

 Uカーブ曲線の各段階は名前がつけられています。Uカーブの左側はハネムーン期といって、滞在国に対する  期待  が高まっている段階です。そのあと不適応に向かって谷の底に落ちるところをカルチャーショック期といいます。この段階ではそれまでの期待が裏切られたり、現実が見えてきて  焦燥・孤立感  を抱くようになります。そしてこの段階を乗り越え、  適応  に向かいます。

 答えは4です。

問5 異文化適応モデルを知っていると得られる効果

 ちょっと自分語りですけど… 私は中国で生活してたころはUカーブとかの異文化適応モデルを全く知らなかったです。だから今自分の身に起きている精神的な苦しみ、身体的な異常などのカルチャーショックが私にしか起こってない特別なものだと思ってました。でもUカーブを見ると、異文化に滞在した人は誰でもカルチャーショックを経験して、いずれそれを乗り越えて適応していくことが分かります。あらかじめ異文化適応モデルの知識があれば、自分に身に起きていたいろんなことを客観的に見ることができて、症状がもっと改善していたんじゃないかなと思います。

選択肢1

 異文化適応モデルを知っていると、今自分の身に起こっている反応が誰もが経験する一時的なものだと認識できるようになり、楽観視できるようになるかも。するとカルチャーショックの程度を軽減できるようになります。この選択肢は適当です。

選択肢2

 カルチャーショックは孤独に起因するわけじゃなくて、その他いろいろな要因によって起きます。相手との関係の中で生じることもあるので、個人的な問題でもありません。この選択肢は間違い。 

選択肢3

 異文化適応モデルを知っていれば異文化と自文化のギャップを感じなくなるなんてことはありません。異文化と自文化のギャップがあるから異文化適応モデルがあるんだという理解にならないとおかしい。

選択肢4

 異文化適応モデルを知っていればストレスやプレッシャーを感じなくなるなんてことはありません。今感じているストレスやプレッシャーはカルチャーショックの前兆、あるいはその最中なのかなーとか客観的に見ることができるようになります。

 答えは1です。




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