6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題10解説

目次

平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題10解説

問1 認知ストラテジー

 言語学習ストラテジーと言えば、オックスフォード(Rebecca L. Oxford)の6分類のほうが有名です(有名だと思っています)が、ここで出題されてるのはオマリーとシャモー(J.M.O’Malley & A.U.Chamot)の言語学習ストラテジーです。こっちは問題文にも書かれているようにメタ認知ストラテジー、認知ストラテジー、社会・情意ストラテジーの3つに分類されるものです。ややこしいんでオックスフォードのほうだけから出題してくれませんか…

メタ認知ストラテジー 学習プロセスを管理するストラテジー。学習を計画したり、モニタリングしたりする活動。
認知ストラテジー メモ取ったり、繰り返し練習したり、情報を整理したりするような活動。
社会・情意ストラテジー 他者に質問したり、協力したりする活動や自分の感情を管理する活動。

 1 メタ認知ストラテジー
 2 社会・情意ストラテジー
 3 認知ストラテジー
 4 情意ストラテジー

 したがって答えは3です。

問2 メタ認知ストラテジー

 ここでは学習ストラテジー以外にも、コミュニケーション・ストラテジーについての選択肢も含まれてるので、これも一緒に覚えておきましょう。これは自分の言語能力が不足しているときにコミュニケーションを達成するために学習者が用いるストラテジーです。以下の6つに分けられます。(taroneの分類)

言い換え 言えない表現を本来正しくないけど似ている表現で表したり、作り出した語で表したり、特徴や要素を描写して表すこと。
借用 言えない単語や文全体を母語や他の言語を使って表すこと。(意識的転移)
援助の要請 言えない表現を質問して教えてもらうこと。
身振りの使用 身振り手振りなどの非言語手段を用いること。
回避 使い慣れない形式や自信のない形式を使わないようにすること。より簡単な自信のある表現を選ぶこと。表現できなくなり、途中で言うのを中断すること。

 1 コミュニケーション・ストラテジーの言い換え
 2 明確化要求っぽい。 taroneの分類には含まれない。
 3 オックスフォードの言語学習ストラテジーの補償ストラテジー
 4 自分自身をモニターするような行動を取っているのでメタ認知ストラテジー

 したがって答えは4です。

問3 社会情意的ストラテジー

 1 社会情意的ストラテジー
 2 コミュニケーション・ストラテジーの身振りの使用(ジェスチャー)
 3 これはまあ… 分かりません。こういうのに名前がありますか?
 4 メタ認知ストラテジー

 社会的ストラテジーは、他の人と協力したり、助けてもらったりするストラテジーです。各選択肢のうち、他者と関係しているのは1です。
 したがって答えは1です。

問4 ストラテジー・トレーニング

 1 どちらも大事です。
 2 どのように推測したかをクラスで共有することは、補償ストラテジーのトレーニングになります。
 3 自分がどのストラテジーを使えているのか、使えていないのかを知ることは、ストラテジー・トレーニングの一環となります。
 4 内容を予測するのは、補償ストラテジーのトレーニングになります。

 したがって答えは1です。

問5 コミュニケーション・ストラテジーが言語習得に有利に働く理由

 1 自分自身が持つ中間言語のある知識が正しいかどうかを仮説検証するためにコミュニケーション・ストラテジーが役立ちます。
 2 コミュニケーション・ストラテジーによって理解できなかったインプットが理解可能になることがあります。
 3 コミュニケーション・ストラテジーによって自信のない表現を回避できるようになりますが、それは言語習得に有利に働きません。
 4 コミュニケーション・ストラテジーによって意味交渉の機会が増えます。

 したがって答えは3です。




コメント

コメントする

目次