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平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3B解説

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平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3B解説

(6)相補関係にもとづく対義語

 この問題は対義語の分類を問うています。詳しい分類はこちらにまとめているのでご覧ください。

 「男」と「女」、「当たる」と「外れる」みたいな対義語はどのような関係に基づく対義語であるかですが、この種の対義語には一方が肯定されれば他方が否定される相補的な関係が見い出せます。すなわち、「男」であれば「女」ではなく、「男」でないなら「女」である、というような関係です。ある事物を完全に二分したときに相補関係の対義語が作れます。例えば地球を半分にして北半球と南半球に分けた時、この「北半球」と「南半球」は相補関係の対義語となります。

 答えは4です。

(7)程度副詞

 「暑い」と「寒い」、「長い」と「短い」などの対義語は   イ   がつくそうです。各選択肢に該当するものをつけてみます。

選択肢1

 様態副詞は動きを表す語について、その動きがどのような動きなのかを限定する副詞です。例えば「すっと出す」「ぎゅっと締める」「ぐっとこらえる」など。様態副詞で「暑い」「寒い」「長い」「短い」などの語は修飾できません。なぜなら「暑い」「寒い」などは動きを表すわけではなく、状態を表す語だからです。この選択肢は間違い。

選択肢2

 程度副詞は状態性の語を修飾して、その程度や量を限定する副詞です。「とても(多い)」「非常に(高い)」などが挙げられます。「とても暑い」「とても寒い」「とても長い」「とても短い」と程度副詞で修飾することができるのでこの選択肢が答え。

選択肢3

 文副詞は… 聞いたことがないです。

選択肢4

 陳述副詞は述語の陳述に呼応したり、命題に対する話し手の主観を表す副詞です。「せっかく」「たぶん」「もしかしたら」などがありますが、これらで「暑い」「寒い」などを修飾することはできません。この種の副詞はモダリティ的表現なので、特定の語を修飾するのではなく、命題に対する話し手の評価、判断を述べるものだからです。

 答えは2です。

(8)反照関係にもとづく対義語

 対義語の分類についてはこちらにまとめているのでご覧ください。

 1 両極性にもとづく対義語(両端に位置するもの同士)
 2 変化に関する対義語(お互いの操作をしたら元に戻る)
 3 反照関係にもとづく対義語(視点によって見方が変わる)
 4 たがいに相手を前提とした対義語(一方がもう一方を前提として存在する)

 答えは3です。

(9)対立する語で品詞が異なるもの

 1 「正しい」はイ形容詞、「間違い」は名詞
 2 「綺麗」はナ形容詞、「汚い」はイ形容詞
 3 「豊か」はナ形容詞、「貧しい」はイ形容詞
 4 「丁寧」はナ形容詞、「ぞんざい」はナ形容詞

 品詞が異なっていない(同じ)ものは4。
 答えは4です。

(10)コンテクストによって対義関係となるもの

 1 「家庭」と「仕事」には対義関係がありません。
 2 「見る」と「する」を比較することで対義関係を示しています。
 3 「クラシック」と「ロック」は並列関係です。
 4 「電車の乗り降り」と「買い物」は並列関係です。

 対義語は語の意味成分に注目することで明らかになりますが、意味成分的に対義関係をなさなくても、コンテクストによって二つの語が一時的に対義関係を結ぶことがあります。選択肢2のように、「見る」と「する」は意味的に対義関係にありませんが、「見るのとするのでは大違いだ」という表現の中では一時的に対義関係をなしています。

 したがって答えは2です。




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