五段動詞とは?

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五段動詞

 五段動詞とは、辞書形が「-u」で終わり、活用語尾がアイウエオ全段で活用する動詞のことです。以下に五段動詞「書く」を日本語教育で用いられる代表的な活用形に活用したものを挙げます。

 辞書形(基本形) 書く
 マス形      書きます
 ナイ形(否定形) 書かない
 テ形       書いて
 タ形       書いた
 タラ形      書いたら
 タリ形      書いたり
 バ形       書けば
 命令形      書け
 意向形(意志形) 書こう
 受身形      書かれる
 使役形      書かせる
 可能形      書ける

 五段動詞は子音語幹動詞u-verb五段活用の動詞などと呼ばれるものと同じ動詞を指します。

国文法の活用表で見る五段動詞

 五段動詞は国文法において五段活用の動詞と呼ばれます。五段活用の動詞はその語幹末尾音の子音によってカ行五段活用、ガ行五段活用などと分類されます。

動詞 語幹 活用語尾
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
カ行 書く kak a(nai)
o(u)
i(masu)
i(te)
u u e(ba) e
ガ行 脱ぐ nug a(nai)
o(u)
i(masu)
i(te)
u u e(ba) e
サ行 話す hanas a(nai)
o(u)
i(masu)
i(te)
u u e(ba) e
タ行 勝つ kat a(nai)
o(u)
i(masu)
i(te)
u u e(ba) e
ナ行 死ぬ sin a(nai)
o(u)
i(masu)
i(te)
u u e(ba) e
バ行 結ぶ musub a(nai)
o(u)
i(masu)
i(te)
u u e(ba) e
マ行 混む kom a(nai)
o(u)
i(masu)
i(te)
u u e(ba) e
ラ行 取る tor a(nai)
o(u)
i(masu)
i(te)
u u e(ba) e
ワア行 笑う waraw a(nai)
o(u)
i(masu)
i(te)
u u e(ba) e

 日本語教育でいう意向形はもともと未然形「書か」であり、「書かむ」→「書かう」→「書こう」と変化してきたものだから未然形の欄に書かれています。また、日本語教育でテ形を呼ばれている活用形はもともと連用形「書き」であり、その後音便が生じて「書きて」と変化してきました。現代では「く」「ぐ」で終わる動詞にはイ音便「ぬ」「ぶ」「む」で終わる動詞には撥音便「う」「つ」「る」で終わる動詞には促音便が生じて、「書いて」「死んで」「勝って」などの形態をとります。
 なお、ガ行、ナ行、バ行、マ行五段活用はテ形でイ音便や撥音便が生じますが、そのほかに「て」が「で」に変わります。

活用の例外

 五段動詞にかかわる活用の例外を以下に示します。

「行く」「逝く」(いく)

 「く」で終わる動詞はテ形で「~いて」の形をとるのが原則的な活用ですが、「く」は「いて」とはならず、促音便が生じて「って」になります。

「行く」「逝く」(ゆく)

 「行く」「逝く」などが「ゆく」と読まれる場合はテ形で例外が生じます。「く」で終わる動詞は原則「~いて」の形をとりますが、「って」「って」にはならず、促音便が生じて「って」になります。「ゆ」自体も使われなくなります。

「問う」「請う」「乞う」

 「う」で終わる動詞はテ形で「~って」の形をとるのが原則的な活用ですが、「問う」「請う」「乞う」は「問って」「請って」「乞って」とはならず、ウ音便が生じて「問うて」「請うて」「乞うて」となります。

「なさる」「くださる」「おっしゃる」「いらっしゃる」「ござる」

 敬語で現れる動詞「なさる」「くださる」「おっしゃる」「いらっしゃる」「ござる」のマス形は「なさります」「くださります」「おっしゃります」「いらっしゃります」「ござります」とはならず、イ音便が生じて「なさいます」「くださいます」「おっしゃいます」「いらっしゃいます」「ございます」になります。

 (1) なさる    → なさります    → なさます    (イ音便)
 (2) くださる   → くださります   → くださます   (イ音便)
 (3) おっしゃる  → おっしゃります  → おっしゃます  (イ音便)
 (4) いらっしゃる → いらっしゃります → いらっしゃます (イ音便)
 (5) ござる    → ござります    → ござます    (イ音便)

「言う」

 「言う」の辞書形はウ音便が生じて「ゆー」と発音することが多いです。これは辞書形のみに生じる音便で、ほかの活用形には生じません。

参考文献

 特になし




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