外国語副作用(foreign language side effect)
不慣れな外国語を使っている最中に起こる一時的な思考力の低下現象を外国語副作用(foreign language side effect)と言います。もしくは外国語効果(foreign language effect)(Takano & Noda, 1993)とも呼ばれます。

外国語副作用が起きる原因を認知心理学の資源理論では、頭の中には情報処理をする資源があると考えます。人がある処理を行うにはその処理に見合った資源を使うので、同時にいくつかの処理を行えば資源の量が足りなくなり、結果としていずれの情報もうまく処理できなくなってしまいます。例えば、本を読みながら話しかけられると本にも話にも集中できなくなったりします。2つの処理のうち、片方を優先しようとすればもう片方はおろそかになり、両方とも上手くやろうとすればどちらもできなくなります。このようなことが外国語を使うときにも起きます。
母語は生まれてからたくさん練習をしてきているので、その処理には特段注意を払わなくても自然に行うことができるようになっています。このような自動化が進めば情報処理に資源をあまり割く必要がなくなります。しかし勉強し始めたばかりの不慣れな外国語は言語処理の自動化があまり進んでいないため、その言語処理に多くの資源を割り当てなければいけません。したがって外国語と同時に何らかの情報処理を行う場合は高度な思考ができなくなり、片方、あるいはどちらの処理も妨害されるので外国語副作用が生じます。
参考文献
海保博之・柏崎秀子(2002)『日本語教育のための心理学』15-28頁.新曜社
Takano, Y. & Noda, A. 1995 Interlanguage Dissimilarity Enhances the Decline of Thinking Ability During Foreign Language Processing. Language Learning 45 (4), 657-681.
※Takano & Noda(1995)では、外国語副作用の程度は外国語と母語との類似性が低いほど大きくなることを実験で明らかにしています。→linguistic similarity hypothesis(言語類似性仮説)
※外国語効果とは、人が母語よりも習熟度の低い外国語を使用する際に、一時的に思考能力が低下する現象(a temporary decline in the thinking ability of people who are using a foreign language in which they are less proficient than in their own native language(Takano & Noda 1995: 658))。

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