接近音(approximant)
日本語標準語で現れる接近音は [j][ɰ] です。正確に言うと… 摩擦音が生じない程度のやや広い狭めを作る調音法を接近音(approximant)、あるいは半母音(semivowel)と言います。接近音は呼気が口の中央を通過する中線的接近音(central approximant)と、口の中央が塞がれていて側面が開いている側面接近音(lateral approximant)に分けられます。本来 [j][ɰ] は中線的接近音に分類されますが、中線的接近音は単に「接近音」と呼ばれるのが一般的です。ここでいう「接近音」はいわゆる中線的接近音を指しています。
●接近音の調音動作
①2つの調音器官を摩擦が起こらない程度に接近させる。
②その空間に呼気を通す。
※口蓋帆を持ち上げて鼻腔への通路を塞ぎ調音します。
調音器官がかなり近づき狭めを作るとそこに呼気を通した時に摩擦音が出ますが、接近音は摩擦音が出ない程度に調音器官を近づけます。分類としては子音ですが、子音の中では最も呼気の流れを妨げない母音に近い音です。
IPA
日本語の例 | IPA表記 | 声帯振動の有無 | 調音点 | 調音法 |
---|---|---|---|---|
やゆよ | [j] | 有声 | 硬口蓋 | 接近音 |
わ | [ɰ] | 有声 | 軟口蓋 | 接近音 |
参考文献
斎藤純男(2019)『日本語音声学入門 改訂版』三省堂,21-24頁
服部義弘(2012)『朝倉日英対照言語学シリーズ 2 音声学』朝倉書店,46-63頁
THE INTERNATIONAL PHONETIC ALPHABET (revised to 2020)
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