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側置詞(前置詞と後置詞)とは?

側置詞(前置詞と後置詞)とは?

 側置詞(adposition)とは、名詞に隣接して現れ、や空間関係などを表す語類のことです。接置詞とも呼ばれます。側置詞のうち、名詞に先行するものを前置詞(preposition)、後続するものを後置詞(postposition)と言います。

 (1) ご飯食べる。
 (2) 8時から10時まで用事あります。
 (3) この件について話し合いましょう。
 (4) 廊坊北京很近。(廊坊は北京にとても近い。)
 (5) 抽烟身体不好。(タバコは体に悪い。)
 (6) 筷子夹菜。(箸を使ってご飯を食べる。)

 日本語にも中国語にも側置詞があり、言語類型論では、日本語は後置詞が多い後置詞言語で、中国語は前置詞が多い前置詞言語に分類されます。日本語の格助詞は後置詞、中国語の介詞は前置詞にあたります。ちなみに、日本語では地図表記などで「至仙台」「至福島」などと書かれることがありますが、この「至」は読まれはしないものの前置詞とみなすことができる非常に特殊な例です。また、中国語にも「桌子有一个苹果(机の上にりんごが1つある)」のような空間関係を表す後置詞があります。

 ある言語が前置詞を持つか後置詞を持つか基本語順と強い相関があり、英語や中国語のようなSVO型言語は前置詞、日本語のようなSOV型言語は後置詞を持つ傾向があります。

参考文献

 斎藤純男・田口善久・西村義樹編(2015)『明解言語学辞典』139頁.三省堂
 角田太作(2009)『世界の言語と日本語 改訂版―言語類型論から見た日本語』5-7頁.くろしお出版




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