次の毎日のんびり勉強会は5月9日(木)20時から。テーマは「名詞のアクセント型」

学習者オートノミーとは?(自律学習)

学習者オートノミー(learner autonomy)

 学習者オートノミー(learner autonomy)とは、「自分の学習に関する意思決定を自分で行うための能力」(青木ら 2011: 2)のことです。具体的には、学習者自身が学習の目的に応じて学習目標を定め、学習内容とその順序、学習に役立つリソースやその利用法、学習のペース、場所、評価などを自分で選ぶ能力を指します。そのような自分の学習に責任を持つ能力によって実現される学習方法を自律学習(autonomous learning)と呼びます。

 学習者オートノミーはしばしば独習(独学)と同じ意味に捉えられることがありますが、学習者オートノミーとは全くの別物です。例えば独習用の教科書などは学習の内容や順序がすでに決まっており、学習者自身がそれらを決定する余地はありません。学習者オートノミーは学習の内容や順序を自分自身で選択します。また、学習者自身が自らの学習活動に責任を持つこと、それすなわち教師が学習者の学習活動に関わらないようにすることと考えられることもありますが、これも誤解です。学習者が教師なしでも自ら学習活動を進めていけるようになることが最終目標ですが、教師が全ての関与を放棄したからといってただちに学習者が自律するわけではなく、最終目標に到達するまでに教師がやるべきことは残っています。例えば、学習者オートノミーを育てるために学習者のオートノミーのレベルを把握し、そのレベルに応じた足場掛け(scaffolding)を行うなどです。教師はレベルが高まるにつれて足場掛けを外していくことで学習者のオートノミーを育て、自律学習を支援する促進者(facilitator)であることが求められます。

参考文献

 青木直子・中田賀之(2011)「学習者オートノミー」『学習者オートノミー ― 日本語教育と外国語教育の未来のために』1-22頁.ひつじ書房
 小嶋英夫・尾関直子・廣森友人(2010)『英語教育学大系 第6巻 成長する英語学習者 学習者要因と自律学習』大修館書店




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