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言語変種(language variety)とは?

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言語変種(language variety)

 「違う」と言えば話し手に男性性という属性が、「あかん」と言えば話し手に関西地方出身という属性があることが分かります。「今行く」と「今伺います」では、前者は友人などの対等以下の者に、後者は目上の者に向けられたことばであることが分かりますし、「彼は学生である」と言えばそれが書き言葉として表現されたことが分かります。このように、ことばは話し手の性別、出身、年齢、職業、所属集団などの社会的属性や状況・場面差(対人関係、表現様式、丁寧度の違いなど)と結びつき使い分けられており、換言すると、私たちはことばを通して自分が特定のグループに所属していること(例えば、男性、関西出身など)や状況などの違いを表現しています。男性語や女性語、関西方言や北海道方言、赤ちゃん言葉や若者言葉といった特定のグループが使用することば、もしくは状況などに応じて使い分けられることばをそれぞれ1つの言語の中にある一つの言語体系として扱う場合、そのことばの多様性を言語変種(language variety)と呼びます。

 (1) 違う。     <話し手の性別>
 (2) あかん。     <話し手の出身>
 (3) 今行く。     <聞き手が友人など>
 (4) 今伺います。   <聞き手が目上>
 (5) 彼は学生である。 <書き言葉>
 (6) そうしておくれ。 <話し手の性別と年代>

 言語変種の中には、(6)の「~おくれ」のように実際に用いる話者がいないにもかかわらず、話し手が女性であり、おばあさんであることを表現できるものも含まれます。この種の言語変種は役割語と呼ばれています。

言語変種の分類

 言語変種は、話し手の社会的属性によって変化することばの様相である方言(dialect)と、話し手の社会的属性ではなく、場面によって変化することばの様相であるレジスター(register:言語使用域)に分けることがあります。方言はさらに、話し手の出身地という社会的属性によって変化する言語変種地域方言(regional dialect)と、話し手の出身地ではなく、所属している社会集団という社会的属性によって変化する言語変種社会方言(social dialect)に分けられます。社会方言は集団語とも呼ばれます。レジスターは同じ話し手であっても場面に応じて使い分けられる言語変種を指し、例えば例文(3)(4)のように聞き手が変わることで変化することばの様相がそうです。話し言葉か書き言葉か、対面か非対面か、音声か文字かなどによる違い、プレゼン、講演、パワーポイントのスライド、電話、メール、手紙、SNS、LINEなどのメッセージでもそれぞれ異なる様相をとります。

参考文献

 岩田祐子・重光由加(2022)「言語の状況差、適切さ(スタイルとレジスター)」『改訂版 社会言語学—基本からディスコース分析まで』137-151頁.ひつじ書房
 木部暢子(2019)『明解方言学辞典』79,155頁.三省堂
 渋谷勝己・家入葉子・高田博行(2015)「歴史社会言語学の基礎知識」『歴史社会言語学入門-社会から読み解くことばの移り変わり』5-42頁.大修館書店

 ※澁谷ら(2015: 16-20)は上記のレジスターを「スタイル」と呼んでいて、岩田ら(2022: 137-138)はレジスターとスタイル(style)を区別しています。レジスターは場面によって発音・語彙・文法が使い分けられることに注目し、スタイルというと表現の改まりの程度(丁寧さの度合い)に注目する点で若干異なりますが、ここではまとめてレジスターとすることにしました。
 




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