令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題13解説

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令和6年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題13解説

問1 公用語

選択肢1

 国語及び公用語はアラビア語のみであったが、2016年2月の憲法改正により国語であったベルベル語が公用語に格上げされた。また、フランス語が一般に広く用いられている。

 『国際交流基金 – 日本語教育 国・地域別情報 2023年度』の「アルジェリア」(魚拓)の資料の3ページにはこう書かれています。アルジェリアには国語がアラビア語とベルベル語の2種類あるということで、この選択肢は正しいです。

選択肢2

 『法律と国語・日本語|参議院法制局』によると、「日本の国語は日本語であるとか、公用語は日本語であるなどと定める条文はない」です。この選択肢は間違い。

選択肢3

 公用語と国語の違いについては参考文献にあたってから更新します。いったん飛ばします。

選択肢4

 公用語と国語の違いについては参考文献にあたってから更新します。いったん飛ばします。

 答えは1です。

問2 実体計画

 言語に対する公的な関与を言語政策(language policy)や言語計画(language plannning)と言い、言語政策は段階によって実体計画、席次計画、普及計画の三種類に分けられます(嶋津 2010: ⅳ)。

実体計画
(Corpus Planning)
政策対象言語(または計画対象言語)そのものの改変や標準化を企図する
席次計画
(Status Planning)
ある言語に関してその地位の上昇や下降を企図する
普及計画
(Acquisition Planning)
政策対象言語(計画対象言語)の学習や習得を推進する

 1 日本語以外の言語の地位を上昇させる検討なので席次計画
 2 表記の標準化をするので実体計画
 3 敬語の学習や習得を促進させているので普及計画
 4 日本語を国語にすることで地位を上昇させるので席次計画

 答えは2です。

 《参考文献》
 嶋津拓(2010)『言語政策として「日本語の普及」はどうあったか 際文化交流の周縁』ひつじ書房

問3 送り仮名の付け方、現代仮名遣い

 『送り仮名の付け方』と『現代仮名遣い』からの出題。

選択肢1

 『送り仮名の付け方 単独の語 2 活用のない語 通則3』には「次の語は,最後の音節を送る。」として「自ら」が挙げられています。これは「みずから」と読むものであって、「おのずから」ではありません。「おのずから」の送り仮名に関する記載は管見の限りなかったんですが、通常は「自ずから」と書きます。この選択肢は間違いです。

選択肢2

 『送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則2』には本則として「変わる」と表記することがありますが、加えて許容される表記として「変る」とあります。「変わる」と「変る」の2種類あるのでこの選択肢は間違いです。

選択肢3

 『現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)』には、「縮」について「ちぢむ」と表記することが書かれています。この選択肢が答えです。

選択肢4

 『現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)』には「略図」を「りゃくず」と表記することが書かれています。この選択肢は間違い。

 答えは3です。

問4 言語権

選択肢1

 言語的少数派の人が裁判に参加する場合、多数派の言語を話せないがために不利益を被る可能性があるので、公平性を期すためには通訳を用意したりして対応する必要があります。彼らに特定の言語を使わせるのはよくない。これは不適当です。

選択肢2

 言語的少数派であるろう者に配慮して手話で情報提供することは言語権の保護につながります。これは正しい。

選択肢3

 外国籍住民は現地語を話せないかもしれないので、彼らの母語で情報発信することは言語権の保護につながります。正しい。

選択肢4

 例えば日本に移住してきた人は日本語が話せるとは限らないし、彼らの生活の中では彼らの母語が使われていることが多いです。そうした生活言語をおびやかすことなく保障するのは言語権の保護につながります。正しい記述です。

 答えは1です。

問5 逆行的言語シフト

 フィッシュマンの文献を読んでから更新しようと思ったけど高い… 余裕できたら買って更新します(泣)
 →Reversing Language Shift: Theoretical and Empirical Foundations of Assistance to Threatened Languages

 答えは2です。




コメント

コメント一覧 (1件)

  • チャットGTPで問5の答えを聞いてみました。参考にしてください。

    フィッシュマンの 「逆行的言語シフト(Reversing Language Shift, RLS)」 の理論に基づくと、言語復興の最も進んだ段階は 「家庭における危機言語が世代を超えて継承される」 です。

    理由

    フィッシュマンは、言語の存続には 「世代間継承(intergenerational transmission)」 が最も重要だと述べています。どれだけ学校教育やメディア、行政で言語が使われても、家庭で親が子どもにその言語を話さなければ、長期的な復興は難しい からです。

    他の段階と比較すると:
    1. 年配世代を中心に危機言語が文化的活動に用いられている → まだ衰退が進んでいる段階であり、若者にはほとんど受け継がれていない。
    2. 全国的なマスメディアや行政で危機言語が用いられている → 言語の地位は向上しているが、話者の増加や世代継承には直結しない。
    3. 公立の学校で危機言語によって教育が行われる → 重要な段階だが、学校で学ぶだけでは家庭での使用が増えるとは限らない(実際、学校で学んでも家では主流言語を使うケースが多い)。
    4. 家庭における危機言語が世代を超えて継承される → 言語が自然に受け継がれるようになれば、長期的な安定が見込める。

    結論: 逆行的言語シフト(RLS)が最も進行している段階は 「家庭における危機言語が世代を超えて継承される」 です。これが達成されると、言語の持続可能性が高まり、次の世代でも話者が増える可能性が高くなります。

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