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リエントリー・ショックとは?

リエントリー・ショック(reentry shock)

 リエントリー・ショック(reentry shock)とは、一定期間生活していた異文化から元々いた文化圏へと戻った後に起こる心理的・身体的ストレス反応のことです。逆カルチャー・ショック、リバース・カルチャー・ショックとも呼ばれます。リエントリー・ショックはWカーブ仮説が示すWカーブの、第2の底に向かう部分で起こるとされています。カルチャー・ショックとの相違点として、カルチャー・ショックは本人が異文化に立ち入っているという認識を持っているため、ある程度の覚悟を持っていますが、リエントリー・ショックの場合は本人が元々の文化圏に対して適応できないとは到底思っていないケースが多いです。異文化で生活したことで多少なりとも本人に何かしらの変化があり、また元いた土地も以前と全く同じとは言えません。そうした変化を自覚しにくいリエントリー・ショックのほうがカルチャー・ショックよりも症状が強く現れることもあります。また、リエントリー・ショックの程度は異文化にどれだけ慣れ親しんでいたかによって変わると言われています。

 異文化で感じていた刺激が感じられなくなったり、母語でのやり取りが退屈に感じられたり、特別な経験をしてきたのに周囲がに興味を持ってしてくれなかったりという要因がリエントリー・ショックを引き起こす原因となります。職業によっては、滞在先では外国人という特別な地位で恩恵を受けていたのに、戻ってくるとその地位が失われるようなギャップに見舞われます。

参考文献

 石井敏・久米昭元・遠山淳・平井一弘・松本茂・御堂岡潔(1997)『異文化コミュニケーション・ハンドブック』288頁.有斐閣
 池田理知子・エリック・M.クレーマー(2000)『異文化コミュニケーション・入門』141-160頁.有斐閣




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