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令和7年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3B解説

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令和7年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3B解説

(6)ⅠグループとⅡグループ

 Ⅰグループの動詞は五段動詞、Ⅱグループの動詞は一段動詞を指します。五段動詞と一段動詞の最も簡単な見分け方は、ナイ形にしてみることです。

 (1) 泳ぐ → 泳がない(oyog-anai
 (2) 寝る → 寝ない(ne-nai

 ナイ形にして「ない」の前に /a/ があれば五段動詞、無ければ一段動詞です。これ以外にも判別方法はたくさんありますが、ナイ形で確認するのが最も一般的でよく使われている方法ですね。

 さて、各選択肢のグループを判別しましょう。

 1 要る → 要らない(ir-anai)  五段動詞
   散る → 散らない(tir-anai) 五段動詞

 2 寝る → 寝ない(ne-nai)   一段動詞
   出る → 出ない(de-nai)   一段動詞

 3 切る → 切らない(kir-anai) 五段動詞
   似る → 似ない(ni-nai)   一段動詞

 4 蹴る → 蹴らない(ker-anai) 五段動詞
   減る → 減らない(her-anai) 五段動詞

 これはサービス問題、絶対に落とせません。 
 答えは3です。

(7)変なマス形

 マス形の例外的な活用と言うと、「ござる」「くださる」「いらっしゃる」などが思い浮かびますね! 何が変かというとですね… 「る」で終わる五段動詞を集めてマス形にしてみましょう。

 (1) 踊る     →  踊ます
 (2) 切る     →  切ます
 (3) ござる    → ござます
 (4) くださる   → くださます
 (5) いらっしゃる → いらっしゃます

 「る」で終わる五段動詞のマス形は「~ります」の形をとります。ラ行で活用するので「らりるれろ」のうち「り」が現れるんですね。だから「踊ます」とか「切ます」とかなんです。しかし「ござる」は「ござます」ではなく「ござます」というのが普通です。「くださる」も「くださます」、「いらっしゃる」も「いらっしゃます」と、「り」ではなくイ音便が生じて「い」に変わります。これが五段動詞のマス形の例外的な活用です。

 各選択肢もちょうど「る」で終わっている動詞が並んでいますから、マス形にして「り」が現れるかどうか確認してみましょう。

 1 (五)おっしゃます → おっしゃます
 2 (五) お目にかかります
 3 (一) さしあげます  ※これは一段動詞だから論外
 4 (五) めしあがります

 選択肢1の「おっしゃる」はマス形で「り」が現れない例外の五段動詞でした。みなさん、これ敬語を教えるときに必要なので絶対覚えたほうがいいです。

 答えは1です。

(8)「する」の可能形とは?

 これは良い問題。解説の前に言いますが、答えは1です。

 (1) 書く(kak-u) → 書ける(kak-e-ru)
 (2) 食べる(tabe-ru) → 食べられる(tabe-rare-ru)

 「書く」の可能形は「書ける」、「食べる」の可能形は「食べられる」というように、活用形というのは普通お互いに同じ語幹を持ち、語幹の後ろにつく活用語尾が変わることによってその語形が作られます。「書く」と「書ける」ではお互いに kak という語幹が共通していますし、「食べる」と「食べられる」では tabe が共通しています。

 (3) する(suru) → しない(sinai)
 (4) する(suru) → します(simasu)
 (5) する(suru) → 同じ語幹を有する可能形がない!

 しかし「する」は特別。「する」とそのナイ形「しない」、「する」とそのマス形「します」なら、同じく s を共有していますからまぎれもない活用形と呼べるのですが、「する」には、同じく s を共有した可能形というのが存在しないのです。これが下線部Cのいう「活用形の欠落したところ」ですね。

 ではどう補完されるかというと、「する」の可能形は「できるだと一般に認識されています。「できる」は s の音が全くないので本来「する」とは”語源的に異なる語”なわけですが、意味的には無標の可能の意味を表すので、このように考えられています。(厳密には「する」を活用して「できる」になるわけではありませんが、便宜上、という話)

 だから答えは1です。

(9)ナ形容詞の特別な形態

 文章中にナ形容詞語幹は名詞と類似していると書かれていますね。確かに使い方は似ています。例えば…ナ形容詞語幹名詞も「です」がつけられます。

 (1) 公平です  <ナ形容詞語幹+です>
 (2) 学生です  <名詞+です>

 それから、否定のときはどっちも「でない」を付けられます。

 (3) 公平でない  <ナ形容詞語幹+でない>
 (4) 学生でない  <名詞+でない>

 さらに、どちらも後ろに格助詞を付けられます。

 (3) 公平を期す  <ナ形容詞語幹+格助詞>
 (4) 学生を呼ぶ  <名詞+格助詞>

 こんなふうに多くのところで使い方が似ているナ形容詞語幹と名詞ですが、もちろん相違点もあるわけです。では各選択肢を見ていきましょう。

選択肢1

 否定を表すときは「公平でない」「学生でない」という風に同じ形をとるのでこの選択肢は間違い。

選択肢2

 名詞を修飾するときは、ナ形容詞語幹は「な」を介在させて「公平な判断」と言うのに対し、名詞は「学生の発表」と「の」を介在させます。名詞修飾においては「な」と「の」で違いがありますね。この選択肢が答え。

選択肢3

 「公平である」と「学生である」、どちらも作れるからこの選択肢は不適当。

選択肢4

 この選択肢はなかなか深いことを言っています。
 動詞、イ形容詞、ナ形容詞は活用できる語ということでまとめて用言と呼ばれています。例えばナ形容詞「公平だ」のテ形は「公平で」ですね。一方、名詞は活用しない語として体言と呼ばれます。しかしどうでしょう。「学生だ」は「学生で」と言うことができます。これはナ形容詞と同じように活用したと言えるのではないでしょうか?

 この語形変化に対する見方は人によって異なるのですが、私はナ形容詞を活用できる語に分類していること自体が間違いだと思います。なぜなら、「公平」自体は語形変化せず、実際に活用しているのはその後ろについている助動詞「だ」だからです。つまりナ形容詞「公平」は活用しないが、その後ろにつく「だ」は活用する、という見方が適当だと思います。そうすれば名詞「学生」は活用せず、その後ろの「だ」が活用するんだとして一貫した見方ができるわけですね。

 つまり、ナ形容詞も名詞も活用しない語なので、テ形を作れるかと聞かれたら”作れない“と答えたいわけです。もし従来の「ナ形容詞は活用する語であり、名詞はしない語だ」という認識でいれば、この選択肢の内容はナ形容詞と名詞の相違点にあたりますので答えになってしまいます。このことから、この試験のこの問題では「ナ形容詞は活用しない」と考えていることが分かりますね。

 答えは2です。

(10)過去形の位置

 各選択肢では動詞、イ形容詞、ナ形容詞述語が問われていますので、これらを述語に置いた過去形を含む丁寧体の肯定文を作ってみて、過去形の位置を確認してみましょう。

 (1) 食べまし。   <動詞述語:丁寧+過去>
 (2) 美しかっです。 <イ形容詞述語:過去+丁寧>
 (3) 静かでし。   <ナ形容詞述語:丁寧+過去>

 動詞とナ形容詞は文末に過去形の「た」が現れますが、イ形容詞は過去形「た」の「です」が現れます。過去形の位置が違うとはこのようなことです。よく学習者は「美しかったです」の過去形の位置を間違えて、「美しいでした」とか「美しかったでした」などと言ってしまいます。イ形容詞だけ過去形の位置に注意しよう! というのを先生は教えないといけませんね。

 1 動詞とナ形容詞は「丁寧+過去」の順で現れますから、この選択肢は間違い
 2 動詞は「丁寧+過去」、イ形容詞は「過去+丁寧」だからこの選択肢は間違い
 3 これが答え!
 4 イ形容詞は「過去+丁寧」、ナ形容詞は「丁寧+過去」だからこの選択肢は間違い

 答えは3です。




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