6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題2(2)解説

令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題2(2)解説

(2)しちゅれい

 これは可愛い誤用。日本語母語話者の子どもにもみられる赤ちゃん言葉ですね! 「つ」が「ちゅ」になるのは音声学的には硬口蓋化という現象です。

 「つ」をIPAで書くと[tsɯ]、「ちゅ」は[tsʲɯ]です。
 「ちゅ」のほうに小さい [ʲ] がありますが、これは硬口蓋化しますよーという意味で、舌が硬口蓋のほうに少しだけ寄ります。ためしに「つ」と「ちゅ」を繰り返し連続して言ってみてください。「つ」のほうは舌が前の方にあるんですが、「ちゅ」になると少し奥に移動しませんか? それが硬口蓋化という現象です。つまり硬口蓋化しているもの、してないものを見極める問題です。

 1 「ざ」→「じゃ」  ([zɑ]→[zʲɑ])
 2 「ちゅ」→「じゅ」 ([tsʲɯ]→[ʑʲɯ])
 3 「ぞ」→「じょ」  ([zo]→[zʲo])
 4 「ぜ」→「ジェ」  ([ze]→[zʲe])

 選択肢2だけ違います。どちらも元々硬口蓋化してる音(拗音)ですね。それ以外は「つ:ちゅ」と同じ組み合わせで硬口蓋化してしまう誤り。各選択肢を繰り返し連続で言うと舌が奥に行ったり手前に来たりを繰り返すのが分かるはずです。

 だから答えは2です。




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