6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

令和4年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題6解説

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令和4年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題5解説

問1 授業の導入

 初級前半で「ている」の授業をやるみたい。その導入はどれ?

選択肢1

 口頭で導入するのも重要だし、文字で視覚的に見せるのも重要。
 口頭でもやりましょう。これは間違い。

選択肢2

 良いと思います。映像を見せて意味を考えてもらって、本作業の弾みになります。これが答え。

選択肢3

 「ている」を使いながら新しい動詞を示してってところはいいです。でも教師に続いてリピートさせるだけで意味とか「ている」の作り方については説明してないみたい。これだと導入になってません。ダメ。

選択肢4

 「ている」の例文は1つだけ? 足りないです。これは4つ5つとあったほうがいい。
 あと読み上げた例文を書き取らせる聴解の授業みたい。意味もルールも説明してないし不十分。全然ダメ。

 答えは2です。

問2 オーディオ・リンガル・メソッド

 オーディオ・リンガル・メソッドは昔大流行した外国語教授法。この教授法は口頭能力の養成を重視していて、母語話者と同じレベルの流暢さ、正確さを求めます。とにかく正確に。これを知ってたらこの問題は簡単。

 1 これが答え。
 2 許容しません。文法の正確さをかなり重視してます。間違ったら絶対訂正します。
 3 AL法は決められた順序で簡単な文型から難しい文型へ。学習者のニーズは考慮されません。
 4 AL法は口頭能力だけ重視。文字教育はしません。

 したがって答えは1です。

問3 TPR

 全身反応教授法(TPR)の話。TPRの授業では、「立って」「座って」「手をあげて」などの簡単なものから先生が指示して、それに合わせ学習者が体を動かし反応させます。指示は徐々に複雑なものになっていき、そうやって音と身体動作を結び付け外国語を覚えていこうっていう教授法です。

 1 否定形に反応できるかどうかも良い練習になるから肯定形に絞るのは間違い。
 2 「夢」をどうやって体で表すの? こういう抽象的な語は向いてないです。
 3 稚拙な授業になりがちなので拒否反応示すなら無理させません。大人に向いてないんですTPRは。
 4 これが正しい記述。

 答えは4です。

問4 教具

選択肢1


 最初は何の話をしてるのかと思いましたが、「さ」とか「ち」とか「ふ」とかは、線が繋がって書かれたり切って書かれたりします。これらは同一ってことを認識させるのはいいですね!

選択肢2

 いいですね! 文句なし。

選択肢3

 いいです。対面授業はジェスチャーができるから本当に楽です。オンライン授業はそういう意味で指導の幅が減っちゃう。

選択肢4

 ある程度計画してたほうがいいでしょう。
 「臨機応変に」っていうと良い内容に聞こえますけど、「計画せず」が良くない。

 答えは4です。

問5 不安を取り除くにはどうすればいいか

選択肢1

 学習者同士で能力の比較をすると成績が良い人悪い人がはっきりして、そういうことするから不安になり嫌がる人がでてきます。軽減することが目的なら、他の学習者と比較する避けたほうがいい。この選択肢は間違い。

選択肢2

 学習者同士で何か作業させると課題遂行に対する自分の責任の割合も低くなるし、最悪他の人に任せて課題を達成することもできるし、他の人にも分からないことが聞けるし。グループワークをやったほうが不安軽減になります。この選択肢は間違い。

選択肢3

 これが正しい記述。間違えて先生から指摘されるのが怖い、間違って周りの人がどう思うかが怖い、成績に影響するのが怖いとかそんな理由で不安を抱くわけですが、先生から誤用は通過点だとちゃんと伝えることはその恐怖を低減させられます。

選択肢4

 学習者の不安を軽減するために全く訂正しないのは、それはそれで問題があります。間違った発話をして指摘されることが不安だったら間違ってもいいよと選択肢3のようなやり方で不安に対する対症療法が良いと思う。不安軽減を優先しすぎて指摘しないと間違ったまま覚えさせることになるかもしれないですから、やっぱりこのやり方はやり過ぎです。

 だから答えは3です。




コメント

コメント一覧 (4件)

  • 問題6の問4。板書計画のない(無計画)授業って?と思いましたが。ホワイトボードはそうなんでしょうか?
    小学校などでは、指導案(略案のぞく)をたてる時は板書計画は必須ですが、「教具の取扱いでホワイトボード」という視点でみたら臨機応変の使用がよいということですかね~?日本語指導の世界ではそうなんでしょうか?

    • >ねぼすけ母さん
      コメントありがとうございます。
      こちら別のコメントで平仮名の複数表記の件でご指摘がありました。選択肢1は合っていることが分かりましたので、したがって選択肢4が間違っていることになりました。確かに板書の無計画はよくないですね…
      というわけで答えを4として修正しました。

  • 問題6の問4 そういや。 「き」と「き」(すいません、教科書体を選んでコピペしたのですが同じ字体になってしまいました。「き」の最後のところ、つながっている「き」とそうでない「「き」がありますね。「さ」もそうですし、、。そういや、一度外国人児童に、最後のところがつながってる「さ」の文字を見て「これなに?」と質問されたことがあります。そう意味では、違うフォントを示す意味はあると思います。
    なので、答えは4ではないでしょうか

    • >ねぼすけ母さん
      なるほど!もしかしたらそうかもしれませんね… 解説更新いたします。

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