6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

異文化トレーニングとは?

目次

異文化トレーニング(intercultural training)

 異文化トレーニング(intercultural training)とは、学習者がスムーズに異文化に接触し、適応できるようになることを目的とするトレーニングのことです。異文化では異文化の人々との接触によってカルチャー・ショックや摩擦が生じますが、異文化トレーニングはそれらに対する必要な準備を施し、予防や軽減を実現します。異文化訓練、異文化コミュニケーション・トレーニング(intercultural communication training)、異文化間トレーニング(cross cultural training)などとも呼ばれます。

 異文化トレーニングには、異文化シミュレーションゲームやロールプレイ(アルバトロスなど)のような体験型のもののほかに、ケーススタディ、カルチャー・アシミレーター、DIEメソッドなどがあります。

異文化シミュレーションゲーム

 研修者に異文化トレーニングを施す場合に、異文化体験をさせる目的で教室に疑似的な異文化コミュニケーションの場面を作り出し、感情や行動面などの変化を疑似体験する異文化シミュレーションゲームを行うこともあります。代表的な異文化シミュレーションゲームにはバファバファ(BaFá BaFá)、バーンガ(Barnga)、エコトノス(Ecotonos)などがあります。

バファバファ(BaFá BaFá)

 バファバファ(BaFá BaFá)とは、異なる2つのグループにそれぞれの習慣や価値観を与えた後、お互いのグループを訪れることで異文化での摩擦を疑似体験する異文化シミュレーションゲームの一つです。
 まず参加者全員を2つのグループに分け、それぞれに異なる独特な文化を与えます。ここでいう文化は言語や非言語、価値観、習慣など様々な領域に及ぶ本格的な疑似文化で、参加者はそれにしたがって行動します。その後、お互いのグループを訪れ、相互交流することで異文化での摩擦やカルチャー・ショックを経験します。

バーンガ(Barnga)

 バーンガ(Barnga)とは、グループに分かれてトランプゲームをやり、異文化で生じる摩擦を疑似体験する異文化シミュレーションゲームの一つです。
 1グループ5人程度でいくつかのグループに分かれ、グループごとに異なるテーブルに座ります。各テーブルごとにトランプゲームを行い、各テーブルの勝者は一つ上のテーブルへ、敗者は一つ下のテーブルへ移動します。これを数ラウンド繰り返します。その後、ファシリテーターからトランプゲームのルールが書かれた紙が全員に配られ、参加者はそれを読みルールを理解します。以降はジェスチャーや絵を描くことだけ許され、発言やファシリテーターに対する質問は禁止です。重要なのは、テーブルごとにトランプゲームのルールは異なるということです。ルール説明が終わったら1ラウンド、2ラウンドと数回繰り返し、異なるルールのテーブルを移動することで異文化を疑似的に体験します。ゲーム修了後は参加者全員がゲームを通して感じたことなどを自由に話し合います。

エコトノス(Ecotonos)

 エコトノス(Ecotonos)とは、異なる3つのグループにそれぞれの習慣や価値観などの文化を与えた後に、グループの代表者が一つのテーブルについて何らかの意思決定をし、それによって引き起こされる異文化を体験する異文化シミュレーションゲームの一つです。同じグループの人が同じテーブルに着く場合、自分と同じ文化の人が多数派の場合、少数派の場合など様々な場合を経験します。

 ※参考の動画は見つけられませんでした。

参考文献

 石井敏・久米昭元・遠山淳・平井一弘・松本茂・御堂岡潔(1997)『異文化コミュニケーション・ハンドブック』184-185,212-213,247頁.有斐閣
 原沢伊都夫(2013)『異文化理解入門』,研究社,72-73.132-138頁
 八代京子,町惠理子,小池浩子,磯貝友子(1998)『異文化トレーニング―ボーダレス社会を生きる』286頁.三修社




コメント

コメントする

目次