6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(12)解説

平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(12)解説

(12)否定の焦点

 各選択肢の文中に否定形があります。それは特にどこを否定しているのか、意味的に確認してみます。この作業は非常に主観的なので注意が必要です。

選択肢1

 否定「じゃない」が「ぶつけた」の後にあるので、一見すると「ぶつけた」を否定しているように見えますが、この否定は「わざと」に焦点を当てています。直前の成分「ぶつけた」を否定しているわけではありません。

選択肢2

 否定「じゃありません」が「泣いている」の後にありますが、「泣いている」を否定しているわけではなく、どうも「悲しくて」を否定しているように感じます。直前の成分「泣いている」を否定しているわけではありません。

選択肢3

 否定「なかった」がありますが、これは直前の成分「出る」を否定しています。

選択肢4

 否定「ない」が「来ている」の後にありますが、「来ている」を否定しているのではなく、「車で」を否定しているように感じられます。直前の成分を否定しているわけではありません。

選択肢5

 否定「わけではありません」が「分かった」の後にありますが、「分かった」を否定しているというよりは「すべて」を否定しているように感じられます。直前の成分「分かった」を否定しているわけではありません。

 選択肢3だけが直前の成分だけを素直に否定していて、それ以外は否定の焦点が否定の形式から離れています。
 したがって答えは3です。




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