平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(13)解説
(13)副詞の呼応
各選択肢の下線部は副詞です。これらと必ず一緒に現れる形式があるかどうか見て見ます。
例えば「決して~ない」「必ずしも~とは限らない」「きっと~だろう」「どうぞ~ください」「まるで~ようだ」などなどのような組み合わせを指します。これらのように、ある語が別のある語と一緒に現れることを呼応と呼んでいます。
1 「いまだ」は「ない」と呼応してます
2 「なぜ」は「か」と呼応してます
3 「もし」は「~ならば」と呼応してます
4 「どうぞ」は「ください」と呼応してます
5 「あいにく」は何も呼応してなさそう
選択肢5の「あいにく」は肯定「~だ」と呼応しているように見えたらそれは間違い。なぜなら「あいにく雨は降らない」みたいに否定「~ない」も使えるから。呼応はその形式と共起することがほとんど義務的で、逆に言えば他の形式と共起することを許しません。
だから「あいにく」には何も呼応しません。
答えは5です。
コメント
コメント一覧 (5件)
1.の いまだ〜ない(ず)
について、「いまだ部屋の中に、匂いが残る」
みたいに使われる事も多分にあるなと思います。
もちろん否定「いまだ〜ない」で使われることもありますが、
自分が見た辞書には「いまだ」の呼応は「ず」であり、
「ない」ではなかったのですが。
どうなのでしょうね。
>ぽんちゃんさん
「いまだ」は否定形が呼応することも、肯定形が呼応することもあります。
否定形が呼応する場合、今まで一度もないという意味になります。
肯定形が呼応する場合、「依然として」という意味に近く、ある状態がずっと続いていることを表します。
https://nihongonosensei.net/?p=20798
4と5について疑問がありますので解説お願いいたします。
まず5ですが「あいにく」は「~みたいだ」とか「~ようだ」とか
推量のモダリティと呼応しているように思えます。
「あいにく彼は来ない。」と使わないような気がするので。
それから4ですが「どうぞよろしくお願いいたします」という文であれば
「ください」が出てきません。使用方法が異なるというのであればいいのですが
申し訳ありませんが私の疑問点について解説お願いいたします。
>マッツさん
4について
「どうぞよろしくお願いいたします」は定型表現なので呼応とは呼べないです。
問題文だけに注目し、「どうぞ」と「ください」が呼応していることを見ます。
5について
「あいにく」はそれに呼応するもの述語の表現がなさそうです。
「あいにく~だ」でもいいですし、「あいにく~みたいだ」でもいいですし、「あいにく~ようだ」でもいいです。述語になんでも来れるということは使い方に制限がないということであり、使い方を制限する呼応は起きないと考えます。
すいません、あとから調べたら「あいにく」は制限がないようでした。
申し訳ありません。
「どうぞよろしくお願いいたします」につては了解いたしました。