平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題12解説
問1 専門用語
1 「熟年」は1980年頃を境に広まった言葉
2 「科学」との同音衝突を避けるために「化学」を「ばけがく」と呼ぶことがあります
3 医療従事者の間で用いられる専門用語
4 モラルハザードを和訳したもの
答えは3です。
問2 非優先応答
隣接ペアの第1部分の実現を促進するタイプの第2成分を非優先応答と言います。簡単にいうと、第1部分の話者が望んでいる発話、期待している発話が第2部分に来なかった場合、そのような応答は非優先応答です。詳しいことはリンク先をご覧ください。
1 <評価>に<賛成>するのは期待する応答なので優先応答
2 <申し出>に対する<受諾>は期待する応答なので優先応答
3 <挨拶>に対する<挨拶>は最も期待される応答なので優先応答
4 <苦情>に対する優先応答は<謝罪>等ですが、ここでは<弁明>していますので非優先応答
答えは4です。
問3 グライスの会話の公理
協調の原理では、会話参与者は会話を進めていくにあたって従うべきルールがあると考え、そのルールを4つの公理と名付け、そのうちの一つに質の公理があります。簡単にいうと「嘘と思っていることを言ったり、証拠が乏しいことを言わない」というルールです。このルールに反しそうなヘッジを探します。
1 突然話題が変わってるようなので関係の公理に反しそう
2 うまく説明できないということは内容が不明瞭かもしれないので様式の公理に反しそう
3 嘘かもしれないことをこれから言うときの言い方なので、質の公理に反しそう
4 必要な量だけ提供すればいいとする量の公理に反しそう
答えは3です。
問4 ぼかし表現
1 「何かない?」のくだけた言い方で、ぼかし表現ではありません。
2 ぼかし表現です。「青いシャツいいんじゃない?」だと「青いシャツ」そのものを示すのに対し、「青いシャツなんか」というと「青いシャツもそうだし、そのあたりのもの」みたいに少しだけ指し示す範囲が広がります。
3 対象を軽視する表現としての「なんか」で、ぼかし表現ではありません。
4 「何か美味しいもの」のくだけた言い方で、ぼかし表現ではありません。ただの口語。
したがって答えは2です。
問5 ポライトネス
仲間内でお互いにキャンパス言葉を使うのは、ポライトネス理論ではポジティブ・ポライトネスというストラテジーにあたります。なぜならキャンパス言葉は仲間に対して親密さをアピールできる言葉なので、聞き手のポジティブ・フェイス(話し手に近づきたいとする欲求)に配慮する言語行動となるからです。一方、控えめに表現する「ヘッジ」は聞き手のネガティブ・フェイス(話し手と距離を取りたい)に配慮した言語行動なので、ネガティブ・ポライトネス・ストラテジーにあたります。
答えは3です。
有標ポライトネス、無標ポライトネスは勉強不足で存じません… たまたまどこかで見つけるまで放置。
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