平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題5解説
問1 自作のプリント教材
1 フォント変えたりするとポイントなのが一目でわかるのでいいです
2 見出しをつけてインデントつけて見やすくするのはいいです
3 図を使ったりするのもいいですね
4 多くの情報を盛り込むとかえって分かりにくくなっちゃいます
答えは4です。
問2 ブレンディッド・ラーニング
選択肢1
学習者それぞれの能力差、個人差に応じて、それぞれの早さ、あるいは異なった過程を踏みながら学習していくこと。
選択肢2
オンラインでの学習と教室での対面学習を効果的に組み合わせた学習形態のこと。
選択肢3
コンピュータを用いて行う教育のこと。
選択肢4
インターネットを使って教育すること。
オンラインと対面をブレンド(混ぜ合わせる)からこういう名前になってます。
したがって答えは2です。
問3 モジュール型教材
モジュール型教材とは、各回完結型の教材のことです。どの課をどの順番で使うかは自由に決められるため、学習者のニーズやレディネスに合った授業ができます。
1 言語要素を選択するんじゃなくて、今回の授業は何を教えるかを選択できるのがモジュール型の特徴です。
2 その通りです。学生がこれ勉強したい!と言ったら、そういう内容があるモジュール型教材を使えばいいということで、学習者のニーズやレディネスを満たせます。
3 これは技能シラバスのことだと思います。技能シラバスは四技能のどれかに焦点を当てたシラバスのことです。
4 モジュール型は何を教えるかを選択するものであって、イラストやタスクなどの素材を選ぶわけじゃありません。
したがって答えは2です。
問4 トピックシラバス
トピックシラバス(話題シラバス)とは、コミュニケーションで現れる話題に焦点を当てて作られたシラバスのことです。例えば学習者がとりあえず自己紹介できることを目標にしていたら、自己紹介で現れる「家族」「趣味」「なぜ日本に来たか」「どうして日本語を勉強するか」などの話題に注目してシラバスを作ります。
選択肢1
自己紹介できるようになりたいというニーズを持つ学習者に「家族」「趣味」などの話題に焦点を当てた授業をすると、その内容が学習者自身の興味と一致するので学習動機を高めることができます。しかし「人口問題」「ジェンダー」などの話題を扱うと学習者のニーズや興味と一致しないので学習動機を低める可能性があります。この選択肢が答え。
選択肢2
「趣味について」みたいなトピックなら各自自分の趣味を話題にすればいいので語彙も表現も比較的身近なものになりますが、「食料問題について」などレベルの高いトピックを扱うと語彙も表現も難しくなりがちです。易しいか難しいかはトピックにもよりますし、そのトピックで現れる語彙や表現は必ず難易度順になるわけでもありません。この選択肢は不適当。
選択肢3
依頼や感謝などの言語の持つ機能に着目して作られるシラバスは機能シラバスです。トピックシラバスではありません。
選択肢4
トピックシラバスは初級にはあまり向いていません。なぜなら話題によってはレベルを超えた単語や表現が出てくる可能性があるからです。初級の文法を学ぶ教科書には構造シラバスが多く用いられます。
答えは1です。
問5 教科書の「構造分析」
選択肢1
教科書は毎課なんらかの目標が設けられています。この課では「~ことができます」を学ぶ、みたいな。そのために必要な単語や文法規則を導入して、最後使えるようになるために練習を行います。目標、学習項目、練習を理解しておかないとその教科書を使う目的も埋もれてしまうので、教科書を選ぶ際は分析する必要があります。この選択肢は適当。
選択肢2
普通教科書は順序よく進めていけば理解しやすいように構成されています。なぜそのような順番で配列されているのかを理解しておくと、課のつながりが見えてきます。具体的には辞書形が導入されていなければ「辞書形+ことができる」を使うことはできませんから、構造シラバスにおいては辞書形を導入した後に「~ことができる」を配列しなければいけません。そうしたつながりです。この選択肢は適当。
選択肢3
文型を積み重ねてJLPTの合格を目指すようなタイプの教科書なのか、それともコミュニケーションを重視した教科書なのかなど、教科書によって学習理論が違います。教育機関の教育方針にしたがい、また学習者のニーズにあわせて適当な教科書を選ぶ必要があります。この選択肢は適当。
選択肢4
実際のどのように授業を展開するかは教科書の内容を分析した後に考えることですので、教科書の「構造分析」とは関係ありません。
答えは4です。
コメント