平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題12解説
問1 サピア・ウォーフの仮説
サピア・ウォーフの仮説(言語相対論)とは、人間の考え方や物事に対する見方はその人の母語の影響を受けているという考え方のことです。「母語が思考・外界認識を決定する」という強い仮説と、「母語が思考・外界認識に影響する」という弱い仮説があり、主張には幅があります。
選択肢3に「決定的な影響を及ぼす」とあります。これは強い仮説。 試験は強い仮説のほうを支持してるみたいです。
したがって答えは3です。
問2 単純語レベルでの区別
問題文によると、英語の rice は、日本語の単純語「コメ」「イネ」「メシ」のいずれも表すことができるようです。このように単純語かつ別の単語で同じものを表す例を選択肢から探します。
1 積乱雲、地震雲、うろこ雲等、形状に応じた名称がありますが、いずれも複合語。
2 乳牛がありますが複合語です。
3 出世魚のハマチとブリは同じものを指し、いずれも単純語。
4 炭火、焚火、送り火等ありますが、いずれも複合語。
答えは3です。
問3 親族名称の単純語レベルでの区別
1 「母」は Mother、「娘」は Daughter で英語も日本語も両者を形式上区別します。
2 「母」は Mother、「義母」はMother in law で英語も日本語も両者を形式上区別します。
3 「息子」は Son、「娘」は Daughter で英語も日本語も両者を形式上区別します。
4 「兄」は Brother、「弟」も Brother で日本語で区別する概念を英語では区別しません。
答えは4です。
問4 色に関する慣用句
1 「黒い噂」「腹黒い」などと悪い意味を表す「黒」の慣用句が見られます。
2 「赤の他人」「赤裸々」しか思い浮かばなかったけど、いずれも「明るい前途」ではありません。
3 「青田買い」「青二才」の「青」は未熟を意味します。
4 「灰」がつく慣用句が見当たらない…
「青」は果実などが実る前の色であることから、日本語の「青」は未熟の意味を表すことがあります。これは若い人が実る前の果実と類似していることを利用したメタファーです。英語では blue ではありませんが、”He’s still green in this field of work.”(彼はまだこの分野では未熟だ)と green を使って未熟を表すことができます。
答えは2です。
問5 忌み言葉
忌み言葉とは、その社会において良くないことや不吉なことを連想させる言葉のことです。例えば結婚式などのスピーチで別れる、割れる、壊れる、失う、逃げる、壊れる、終わるなどの言葉を使うと、その関係が破綻することを連想させてしまうと考えられているので、一般に別の表現に言い換えられたり、言うのを避けたりします。身近な例だと、受験生に対して滑る、落ちる、転ぶなどを言うと良くないとされていることが挙げられます。
1 忌み言葉じゃない
2 忌み言葉じゃない
3 忌み言葉を「終わる」を「お開きにする」に言い換えてます
4 忌み言葉じゃない
答えは3です。
コメント
コメント一覧 (1件)
問4について、
おじいちゃんの長寿を願って赤いちゃんちゃんこを着てた
印象から明るいイメージを想像しました。
でもあの赤は魔除けだったみたいです。