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平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題11解説

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平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題11解説

問1 方言

 1 階層方言
 「階層方言」ってどういうものですか? ちょっと分からないので一回後回し…

 2 社会方言(位相語)
 性差、年齢、年代、階層差、階級差、職業、生活環境、趣味、嗜好などの社会的な属性(位相)の違いによる言語変種のことです。若者言葉、老人語、男性語、女性語、職業語などなど。

 3 ネオ方言
 標準語と方言の混交形式として生まれた中間的な言い方のことです。よく例として挙げられるのが「こーへん」です。標準語の「来ない」が関西方言の「けーへん」「きーへん」「きーひん」と混ざりあって、「こーへん」が生まれたとされています。

 4 新方言
 若者が方言から取り入れた標準的ではない言い方のことです。「~じゃんか」「~分からんくなった」など。

 文章中に「年齢や性差などの観点から」とありますので、これが社会方言です。
 したがって答えは2です。

問2 若者言葉

 若者言葉とは、若者の間で日常的に使用される俗語・スラングのことです。それ以外の世代ではあまり用いられません。

 1 人に聞かれて都合が悪いことを隠すため
 使用例が思い付かなかったのですが、そういう場面で使うこともあると思います… 例があれば教えてください。

 2 マイナス評価の語の印象を冗談めかして和らげるため
 本当にそうは思っていなくても「きもっ」や「うざっ」と言って場を盛り上げたり和ませたりする使い方があります。こういうことだと思います。

 3 感覚よりも理性に訴えるため
 理性的な場面ではもっと丁寧な言い方のほうが用いられやすいです。若者言葉はむしろ理性よりも感覚に訴えるために用いられるはずです。

 4 会話に笑いを生じさせて楽しむため
 くだけた表現が多いので、言葉遊びのようなものも多く、確かに笑いを生む効果があります。

 したがって答えは3です。

問3 集団語

 集団語とは、ある特定の集団の中で用いられる言葉のことです。

 1 ダイクシス(直示表現)
 発話場面に依存して意味が決定する言語表現のことを直示表現と言います。例えば「これは美味しい」の「これ」は直示表現です。その場にいる人は「これ」が何を指しているか理解できますが、その場にいなければ特定することはできません。
 集団語とは関係ありません。

 2 スラング(俗語)
 ある特定の集団の中で用いられる、一般的に品の無いとして認識されている言葉のことです。集団語に含まれます。

 3 職業語
 同一の職業集団の中でのみ使われる特殊な言葉のことです。集団語に含まれます。

 4 術語(学術用語)
 学問などの分野で用いられる用語のことです。集団語に含まれます。

 したがって答えは1です。

問4 隠語

 隠語とは、外部に秘密を漏らさないためや仲間意識を高めるためなどに用いられる、ある特定の集団の中で用いられる言葉のことです。

 1 ただの外来語
 2 刑事さんたちが使ってる隠語
 3 ただの外来語
 4 明石家さんまさんが使って以来急速に普及した言葉で、今では一般的な語です。隠語ではありません。

 したがって答えは2です。

問5 役割語

 特定の人物像を想起させる言葉とは、役割語のことです。

 例えば「わし」からは老人、「わたくし」からは気品のある女性をイメージできたりします。実際に使われていたものをステレオタイプ化した表現が多いですが、存在しないものや人以外の生き物にも用いられたりします。棒読みの「ワレワレハウチュウジンダ」が宇宙人を表したり、「~ニャ」「~ワン」、ピカチュウの「ピカピカ」などもそうです。
 そのほとんどは実際の言語活動にはほとんど見られませんが、ドラマ、映画、小説、アニメなどにおいて、聞き手にその登場人物のイメージを一瞬で想起させ植え付けることができます。

 1 知的階級の男性
 2 武士
 3 江戸の遊女 「あちき」とも言います。 
 4 もともと東京下町の婦女や小児、いまは不良の女の子とかも

 したがって答えは1です。
 




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