令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題13解説
問1 交渉会話
交渉会話は、情報のやりとりを通して何か具体的な物事の処理を行う会話のこと。
交流会話は、日常で行われる雑談など、話の内容よりも会話を通じた人間関係の維持に重点がある会話のこと。
1 あんまり内容がないので交流会話
2 情報のやりとりをしてるから交渉会話
3 挨拶だから交流会話
4 雑談的なので交流会話
答えは2です。
問2 心的距離を近づける質問の方法
1 全部まとめて質問するやり方はなんだか嫌われそう。
2 盛り上がった話題で話し続けるほうが心的距離が近づきそう。
3 相手の話を引き出す質問は良い質問ですよね。これが答え。
4 これだと自分ばかり話すことになりそうだから引かれそう。
答えは3です。
問3 共同発話
共同発話とは、相手の話の途中に入り込んで相手の代わりに文を終わらせる、複数人で一つの話を完成させるような会話のしかたのことです。共話とも言います。例えばこんなの。
【共話の例】
A:毛さんはね
B:考えすぎだよね
A:疲れると思う
B:もっと気楽でいいのにね
共話は相手の言いたいことが十分に理解できていないとできません。
1 これが共話の例。2人で一つの話を完成させてます。
2 「一緒に出ても…」で察して「どうぞ」と言ってるやつ。共話じゃなくてただ察しただけ。
3 これも察しただけ。
4 これも察しただけ。
答えは1です。
問4 話題の終了を示唆する行動
選択肢4について
相手がなんか話をしているときに相づち「うんうん」とか、評価「そうですね」「いいですね」を増やして言うような場面は、なんだか相手の話はもう十分、もう聞きたくないみたいな意味になるときがあります。それはその話題を終了させようとする発話行為と言えそう。
答えは4です。
問5 OPI
OPI (Oral Proficiency Interview)とは、ACTFLが開発した外国語の口頭表現能力を測定するための試験です。タスクと機能、場面/話題、正確さ、テキストの型の4つの基準からレベルを判定します。受験者のレベルの下限と上限を見極めるために難易度を調整しながら行われるのが特徴で、30分間の試験ではインタビューやロールプレイなどを行います。
参考:日本語OPI研究会
選択肢1
「ロールプレイ」とあるからOPIっぽいなと思いますけど、「学習者に達成感を与えるため」が間違い。OPIはそういう目的で行われてません。
選択肢2
口頭表現能力を測定するのがOPIだからパターン・プラクティスは絶対違います。
選択肢3
これが答え。OPIはインタビューやロールプレイの中で口頭表現能力のレベルを測ります。まずは簡単なところから初めて、徐々に難しくなっていって、どこでできなくなるかみたいな方式でその人のレベルを見極めます。この選択肢の記述はOPIのそれを同じ。
選択肢4
ウォームアップも違うし、活動目的を理解させるってのも意味不明。
答えは3です。
コメント
コメント一覧 (3件)
問4ですが、私は4番にしました。
私自身がこんな感じで話を終わらせようとする事があるからです。それだけの理由です。
私は問4、3を選びました。
電話などで長引きそうな話を終わらせたい時、速度を速めて会話を終了する事あるような気がします。
早口にすることで、もうその話に興味がないことをアピールするというか‥。
相づちの繰り返しや評価的な発話があると逆に心地よくて話が終わらさそうと思いました。
『話題終了表現研究』(があるとは知りませんでした!!)では、
相槌や満腹感を与えるのがいいという知見があるそうです…
嶋原耕一(2017) 「接触場面初対面会話の話題転換における話題の終了表現及び開始表現―新出型の話題転換に焦点を絞って―」,『立教日本語教育実践学会 日本語教育実践研究』 第5号, pp.34-50
p.35冒頭引用
「先行研究では、円滑な話題転換に資する要因として、先行話題の終了表現と後続話題の開始表現が、主な分析対象とされてきた。前者は「先行話題が十分に話し尽くされ、それを転換する必要があること」(Covelli and Murray, 1980, p.385)を確認するためのものであり、相づちや話題をまとめる発話が該当する。後者は「結束性表示行動」とも呼ばれ(村上・熊取谷, 1995)、先行話題と後続話題がどのように結束しているのか、また結束していないのかについて、表示する表現である。それには「あのう」等の言いよどみ表現や、「話は変わるが」等のメタ言語表現などが該当する。終了表現により「先行話題が十分に話し尽くされた」ことを確認し、開始表現によりどのような新話題を導入するのか予告することで、唐突な印象につながる危険性を減らすことができると考えられる。」
文中引用文献
Covelli, L. H. & Murray, S. O. (1980). Accomplishing Topic Change. Anthropological Linguistics 22, 382-390
村上恵・熊取谷哲夫 (1995). 「談話トピックの結束性と展開構造」. 『表現研究』 62, 101-111.