平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(6)解説
(6)「から」の用法
選択肢の「から」を見ると理由を表しているようです。しかし、直接的な理由を表す「から」もあれば、直接的な理由を表さない「から」もあるんです。例えば次のようなものです。
【直接的な理由】地震があったから、母親に電話した。
→地震があったという理由で、母親に電話した
【間接的な理由】先に行くから、あとでついて来て。
→先に行くという理由で、あとでついて来て?
直接的な理由は「から」を「~という理由で」に言い換えることができますが、間接的な理由の場合はそれができません。こうした形態的な転換の手段をもって「から」の意味を判別可能です。
1 ✕入れておくという理由で、温めて食べてね
2 〇危ないという理由で、外側に出ないでください。
3 ✕預けておくという理由で、渡してくれないか。
4 ✕辞書があるという理由で、調べてみたら。
5 ✕タクシーを呼ぶという理由で、家に戻ったらどうですか。
選択肢2だけその言い換えが可能でした。それ以外の文は前件が後件の直接的な理由を表していません。
したがって答えは2です。
コメント
コメント一覧 (1件)
私は「事前準備の表現」に近い理由で2を選びました。「電車が来ると危ないから」は理由を示しています。1,3,4,5はどちらかというと、接続的な用法だと思いました。禁止しているか、促しているかは後項の違いであって、「『から』の用法の違い」とは言えないのではないでしょうか。「白線の外側に出ないでください」を「白線の内側にいてください」といいかえれば、どれも性質は同じ、ということになってしまいます。