平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題7解説
問1 教育評価
選択肢1
総括的評価は学期末や学年末などの区切りがつく段階で行われる評価で、その評価の結果は学習者の合否などを決めるために使います。この選択肢は不適当。
選択肢2
診断的評価は指導に先立って行われる評価で、学習者のコース開始前における言語能力を把握したり、クラス分けするための情報を得るために行う者です。コース途中ではないのでこの選択肢は不適当。
選択肢3
選抜的評価は入学試験などの候補者の選び出しを目的として行う評価。この選択肢は不適当。
選択肢4
形成的評価は学習過程で一区切りつく段階で行い、学習目標がどれくらい達成されたかの情報を得るために行う評価です。コース途中で行うし、その評価結果はその後の指導や学習を改善するための資料にもなります。この選択肢が答え。
答えは4です。
問2 集団基準準拠テスト
集団基準準拠テストとは、受験集団における個人の相対的な位置をみるためのテストです。受験集団は全員同じ内容のテストを受けることでそれを実現します。これを踏まえて…
選択肢1
目標に対する個人の到達度を測るのは目標基準準拠テスト。この選択肢が答え。
選択肢2
点数、平均点、標準偏差、偏差値などで受験者との能力の違いを明らかにできるのは集団基準準拠テストの特徴。ポイントは「受験者間」。
選択肢3
入学試験などでは偏差値などを用いて個人の結果を分析します。これは集団基準準拠テストの特徴。
選択肢4
集団基準準拠テストの特徴。どの項目の正答率が高いかなどは受験者全体の回答から分かるもの。
答えは1です。
問3 テストの妥当性
妥当性について説明します。
妥当性とは、そのテストが測定しようとしている事柄を的確に測定しているかどうかの度合いのことです。たとえば、平仮名を見て漢字を書かせるテストがあったとして、その指示文に「平仮名を読んで、空欄にその漢字を埋めなさい」のように指示が書いていたとすると、「平仮名」「空欄」「埋める」というややレベルの高い語が分からないばかりに何を答えればいいのか分からなくなってしまうようなテストは妥当性が低いと言えます。漢字が書けるかどうか問うテストなのに、それとは別の、漢字を読むという要素が含まれているからです。
1 客観性
2 妥当性
3 真正性
4 真正性
答えは2です。
問4 正の相関と負の相関
横軸の値(x)が増加すると縦軸の値(y)も増加する関係を正の相関、xが増加したときにyが減少する関係を負の相関と言います。xが増加してもyに増減の傾向が見られない場合は相関関係なし。また、直線的な関係の傾向が強い場合は強い相関関係、逆の場合は弱い相関関係と言います。
このグラフは何となく右上に向かってプロットされている感じがします。しかしそんなに直線的ではない、はっきりしたものではありません。なので弱い正の相関があると言えます。
答えは2です。
問5 Can-do Statements
Can-do Statementsとは、日本語学習者が現実のある場面において「できる」か「できない」かを回答させる質問票みたいなもののことです。日本語能力試験などで受験者に実施されたりしています。
参考:日本語能力試験Can-do自己評価リスト(JLPT Can-do) | 日本語能力試験 JLPT
選択肢1
Can-do Statementsはその級の目安となるものを示すだけなので、自己評価として使うことはできても、自分の能力を正確に測定できるというわけではありません。
選択肢2
Can-do Statementsを用いることで、あるレベルの学習者がこのくらいのことができるという基準が大体分かります。それで学習者も教員も目標を明確にすることができます。
選択肢3
Can-do Statementsは現実のある場面におけるコミュニケーション活動ができるかどうかについてまとめられたものです。参考にすることによって、実社会のコミュニケーション活動を想定したコースデザインができます。
選択肢4
可能です。そういう質問票を作って、多くの学生に配るようなことができれば。
答えは1です。
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