6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題7解説

目次

平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題7解説

問1 教育評価

選択肢1

 コース終了時に行うもので、学習者の最終的な学習成果を総合的に把握するために行う評価です。期末試験など。

選択肢2

 コース開始前に行うもので、学習者のコース開始前の日本語力の把握、クラス分けの判断資料を目的として行う評価です。プレースメントテストなど。

選択肢3

 入学試験などの候補者の選び出しを目的として行う評価です。

選択肢4

 コースの実施途中に行うもので、学習状況を見るためにコース開始後に随時実施される評価です。小テストなど。

 改善に役立ちそうなのは形成的評価です。学習者の状況を見て、順調ならそのまま、あまり良い感じじゃないなら評価の結果に合わせて難易度を調整したりみたいなことができます。
 したがって答えは4です。

問2 集団基準準拠テスト

 受験集団における個人の相対的な位置づけを明らかにするテストを集団基準準拠テストと言います。他の受験者よりも点数が高い、優秀な学生を合格にするような入学試験などがこれです。
 逆に、受験者の現在の学力と到達目標までの距離や能力の伸びを明らかにするテストを目標基準準拠テストといいます。他の受験者との競争というよりは、その人がどのくらいできるかを測る定期試験などがこのテストに分類されます。これを踏まえて…

選択肢1

 目標に対する個人の到達度を測るのは目標基準準拠テストの特徴です。

選択肢2

 点数、平均点、標準偏差、偏差値などで受験者との能力の違いを明らかにできるのは集団基準準拠テストの特徴です。
 ポイントは「受験者間」

選択肢3

 入学試験などでは偏差値などを用いて個人の結果を分析します。これは集団基準準拠テストの特徴です。

選択肢4

 集団基準準拠テストの特徴。どの項目の正答率が高いかなどは受験者全体の回答から分かるものです。

 したがって答えは1です。

問3 テストの妥当性

 ここでテストの「~性」っていっぱい出てきてますので、一覧にして紹介します。

妥当性 そのテストが測定しようとしている事柄を的確に測定しているかどうかの度合いのこと。初級のテストに上級の問題が混じっていればテストの妥当性は低い。
信頼性 そのテストの結果が常に同様の結果を得られるかどうかの度合いのこと。連続して同じテストをした時に、その結果や受験者の順位などの変化が激しい場合は信頼性は低い。
客観性 採点者が変わっても採点結果が安定しているかどうかの度合いのこと。
経済性 そのテストを実施するにあたって、時間や費用が経済的であるかどうかの度合いのこと。
真正性 テストに使われている素材や場面などが、学習者の現実の言語使用状況をどれだけ反映しているかの度合いのこと。ロールプレイでレストランでの注文などの場面を採用した場合、実際の言語活動に近くなるので真正性が高い。

 1 客観性
 2 妥当性
 3 真正性
 4 真正性

 したがって答えは2です。

問4 正の相関と負の相関

 横軸の値(x)が増加すると縦軸の値(y)も増加する関係は正の相関、xが増加したときにyが減少する関係は負の相関と言います。xが増加してもyに増減の傾向が見られない場合は相関関係なし。

 また、直線的な関係の傾向が強い場合は強い相関関係、逆の場合は弱い相関関係と言います。

 このグラフは何となく右上に向かってプロットされている感じがします。しかしそんなに直線的ではない、はっきりしたものではありません。なので弱い正の相関があると言えます。
 したがって答えは2です。

問5 Can-do Statements

 Can-do Statementsとは、日本語学習者が現実のある場面において「できる」か「できない」かを回答させる質問票みたいなもののことです。日本語能力試験などで受験者に実施されたりしています。
 参考:日本語能力試験Can-do自己評価リスト(JLPT Can-do) | 日本語能力試験 JLPT

選択肢1

 Can-do Statementsはその級の目安となるものを示すだけなので、自己評価として使うことはできても、自分の能力を正確に測定できるというわけではありません。

選択肢2

 Can-do Statementsを用いることで、あるレベルの学習者がこのくらいのことができるという基準が大体分かります。それで学習者も教員も目標を明確にすることができます。

選択肢3

 Can-do Statementsは現実のある場面におけるコミュニケーション活動ができるかどうかについてまとめられたものです。参考にすることによって、実社会のコミュニケーション活動を想定したコースデザインができます。

選択肢4

 可能です。そういう質問票を作って、多くの学生に配るようなことができれば。

 したがって答えは1です。

 




コメント

コメントする

目次