6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

形式スキーマと内容スキーマについて

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形式スキーマと内容スキーマ

 Carrell(1983)はスキーマ(schema)を形式スキーマ(formal schema)と内容スキーマ(content schema)に分けました。読解で読み手が適切なスキーマ(形式スキーマまたは内容スキーマのどちらか)を活性化できなければ、当該テキストは理解できなくなります。適切なスキーマを活性化できない原因は、テキストが読み手のスキーマを活性化するための手がかりを提供していないか、もしくは読み手が適切なスキーマを持っていないかのいずれかです。

形式スキーマ(formal schema)

 Carrell(1983: 560)は形式スキーマを次のように定義しています。

 background knowledge of the formal, rhetorical organizational structures of different types of texts
 (異なるタイプのテキストの形式的で修辞的な組織構造に関する背景知識)

 形式スキーマジャンルによって異なる文の構成や書き方に関する背景知識のことで、例えば寓話、簡単な物語、科学的なテキスト、新聞記事、詩などのジャンルの違いによって文の構成が異なることについての知識を指します。物語には起承転結がありますが、科学的なテキストにはそうしたものは含まれません。新聞記事には事実と解説が書かれますが、寓話にはありません。

内容スキーマ(content schema)

 Carrell(1983: 560)は内容スキーマを次のように定義しています。

 background knowledge of the content area of a text
 (テキストの内容領域に関する背景知識)

 形式スキーマとは対照的に、内容スキーマテキストの内容面に関する背景知識のことで、食事に関するテキスト、初詣に関するテキスト、ボーリング、ハリーポッター、日本経済、三国志、核融合などさまざまなテーマに関するテキストの背景知識を指します。例えば核融合に関するテキストを読んでも核融合に関する背景知識がなければそのスキーマを活性化させることができないので、当該テキストは理解できなくなります。

参考文献

 Carrell, P and Eisterhold, Joan C. (1983) Schema theory and ESL reading pedagogy, TESOL QUARTERLY, 17(4),pp.553-573




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