6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

反転授業とは?

反転授業(flipped classroom)

 反転授業(flipped classroom)とは、従来教室で行われてきた教師から生徒へ知識を伝える授業を動画にし、学習者がそれを自宅で電子機器を用いて視聴して予習し、教室では予習した内容を復習あるいは応用を行う授業のことです。2000年代後半のアメリカでは、ICTの活用によって初等・中等教育で反転授業が広がり始めました。反転授業は教師が黒板を使って行うそれまでの伝統的な一斉授業を一変させ、それまでと全く異なる授業展開を行うことができるようになりました。教師が中心となって講義するのではなく学習者が主体。教師は協働学習を促すファシリテーターとしての役割も担いますが、学習者に寄り添って一対一の個別指導を行うこともあります。

 反転授業は「反転させる」という点が重要です。従来の伝統的な授業では教師が教室で知識を伝達して、その後学習者は自宅で宿題などの課題に取り組みます。このプロセスを反転させ、まずは学習者が自宅で課題に取り組み、その後教室で授業を行うのが反転授業です。「反転」とはこの点のこと。

 中西(2020: 12)は、反転授業を行うことによって生徒が急に主体的に学び始めるわけではないことを指摘しています。生徒が主体的に学習するようになるには生徒自身のマインドセット(心的態度)が重要で、反転授業はそのきっかけを与える手法の一つに過ぎません。主体的な学習に導けるかどうかはまた別問題。

参考文献

 芝池宗克・中西洋介(2014)『反転授業が変える教育の未来――生徒の主体性を引き出す授業への取り組み』明石書店
 中西洋介(2020)『反転授業の実践知――ICT教育を活かす「新しい学び」21の提言』明石書店




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