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自文化中心主義とは?

自文化中心主義(ethnocentrism)

 自文化中心主義(ethnocentrism:エスノセントリズム)とは、「自らの文化を普遍的で標準的なものとしてとらえ、その価値観や基準に照らして他の文化を評価しようとする考え方」(異文化間教育学会 2022:27)のことです。自民族中心主義、自民族優越主義とも呼ばれ、一般に文化相対主義の反対の概念として位置づけられています。

 人は生まれ育った文化圏で何が正しくて何が間違っているといった価値基準を学びます。この価値基準は一般にその文化圏で共有されているので、自文化の中で生活しているだけではこの価値基準に基づいた評価や判断で問題が起きることは特にありません。しかし、この価値基準を他文化にも当てはめようとすると自文化中心主義に陥ります。私たちは一般に自文化とは異なる文化に接触するとき、それを異質なものと捉えて低く評価し「間違っている」「おかしい」などと感じます。この考え方のもとでは自文化は正しく優れている、他文化は間違っていて劣っていると判断しやすくなり、差別の温床になりかねません。

参考文献

 石井敏・久米昭元・遠山淳・平井一弘・松本茂・御堂岡潔(1997)『異文化コミュニケーション・ハンドブック』247頁.有斐閣
 池田理知子・エリック・M.クレーマー(2000)『異文化コミュニケーション・入門』10頁.有斐閣
 異文化間教育学会(2022)『異文化間教育事典』27頁.明石書店
 原沢伊都夫(2013)『異文化理解入門』48,144頁.研究社





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