文化変容モデル(Acculturation Model)
文化変容モデル(Acculturation Model)とは、アメリカのシューマン(J.Schumann 1976,1978)が提唱したモデルで、学習者が自分を目標言語の文化に同化させようとする度合いが第二言語の習得に影響を与えるとする第二言語習得のモデルです。このモデルでは、第二言語習得の度合いは目標言語を学ぶ学習者集団と目標言語文化の社会的距離(以下、社会的距離)、学習者が感じる目標言語文化への心理的距離(以下、心理的距離)によって決まると考えます。
シューマンは、アメリカで働くコスタリカ人の労働者グループの言語習得を観察し、ある一人の学習者の英語習得が全く進まなかったことに注目しました。彼はアメリカの文化や人々と交流しようとせず、同じ労働者グループなどの人々と母国語で話していました。このことからシューマンは学習者が目標言語文化に自分を同化させようとする度合いが高ければ高いほど第二言語も発達すると考えます。社会的距離と心理的距離が近くなると文化変容の度合いが高まり、第二言語習得に適した環境になって第二言語も発達しますが、社会的距離と心理的距離が遠くなると第二言語の習得が遅れます。これが文化変容モデルであり、コスタリカ人の彼は社会的距離と心理的距離が遠くなったために英語習得が遅れたと考えます。
参考文献
迫田久美子(2002)『日本語教育に生かす第二言語習得研究』35-37頁.アルク
小柳かおる(2004)『日本語教師のための新しい言語習得概論』193-195頁.スリーエーネットワーク
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