可算名詞と不可算名詞について
ここでは名詞が表す概念が数えられるかどうかという可算性(countablity)についてまとめます。可算性は英語などに見られる文法で、可算性のある名詞(数えられる名詞)は可算名詞、可算性のない名詞(数えられない名詞)は不可算名詞と言います。可算名詞は原則として数詞 one, two, three などがつき、複数形になり(単数と複数を区別し)、不定冠詞 a(n) がつきますが、不可算名詞は原則として数詞がつかず、また複数形にもならず(単数と複数を区別せず)、不定冠詞もつかないという形態統語的特徴が認められます。このような可算・不可算の区別は日本語(東京方言)にはありません。
可算名詞(countable noun)
英語の普通名詞の中には、原則として数詞 one, two, three などがつき、複数形になり(単数と複数を区別し)、不定冠詞 a(n) がつくという形態統語的な特徴を有するものがあります。例えば bean(豆)は、複数形 beans にできることから単数形と複数形の対立を持ち、また数詞がつくので、文法的に “数えられる” という性質を持った名詞として可算名詞(countable noun)と呼ばれます。
(1) bean - one bean, two beans (数詞がつく)
(2) bean - beans (複数形にできる)
(3) bean - a bean (不定冠詞がつく)
不可算名詞(uncountable noun)
英語の普通名詞の中には、原則として数詞 one, two, three などがつき、複数形にならず(単数と複数を区別せず)、不定冠詞 a(n) がつかないという、可算名詞とは異なる形態統語的な特徴を持つ名詞があり、これらは可算名詞に対して不可算名詞(uncountable noun)と呼ばれています。例(4)~(6)の通り、rice は複数形 rices を持たないことから単数形と複数形の対立がなく(単複を区別せず)、数詞がつけられないことから文法的に “数えられない” 性質を持つ不可算名詞です。
(4) rice - *one rice, *two rices (数詞がつかない)
(5) rice - *rices (複数形がない)
(6) rice - *a rice (不定冠詞がつかない)
「米一粒」を表したい場合は不定冠詞や数詞が使えないので、”a grain of rice”, “two grains of rice” というように表現しなければいけません。rice は常に rice という形態で用いられるため、文法上は個としての境界線を持たないものとみなされています。
可算名詞と不可算名詞の認識的な違い

上述した可算名詞と不可算名詞は文法上の違いに着目したものですが、その文法上の違いには英語話者がそれぞれの事物をどのように捉えているかという認識的な違いも表れます。例えば、可算名詞である watch(腕時計)や book(本)などはそのものを分解すると構成している細かな部品や紙などになりますが、不可算名詞である gold(金)や water(水)などは分解しても変化がないので呼び名も変わりません。このような違いは文法的な違いではなく認識の違いによるものですが、可算名詞と不可算名詞の違いを直感的に捉えるときによく引き合いに出されます。
可算名詞 それ以上分解したらそれと呼ぶことができなくなるもの
不可算名詞 分解してもそのままそれと呼ぶことができるもの
可算名詞は決まった形を持ち、分解するとその形が崩れてしまうことでそれとは呼べなくなってしまいます。決まった形を持つものは個体であり、数詞や不定冠詞をつけるなどして文法的に数えられるものとして扱われます。一方、不可算名詞は分解しても呼び名は変わらず、すなわち分解する前の状態でも後の状態でも変わりません。このように決まった形を持たない不可算名詞は数えられないわけです。
可算名詞 cake と不可算名詞 cake
(7) I bought a cake for the birthday party.
(誕生日パーティのために、ケーキを買ってきた。)
(8) I ate a piece of cake.
(私はケーキを一切れ食べました。)
(7)のような cake はいわゆる誕生日ケーキで買うようなホールケーキを指します。ホールケーキはそれを切り分けると一切れ一切れのケーキになるので分解できるものと考えられ、したがって(7)では不定冠詞 a をついた形で可算名詞として扱われています。しかし(8)のケーキは切り分けた後のケーキを指し、それ以上分解するとケーキを構成するクリーム、苺、生地などになってしまいます。なので(8)では不可算名詞として扱われ、a piece of cake となっています。
可算性(countablity)
数詞や a(n) がつけられるものは可算名詞で、つけられないものは不可算名詞、という区別は原則的なもので絶対ではありません。実際は可算性(countablity)というグラデーションがあり、文法的に可算名詞として扱われるときもあれば、不可算名詞として扱われるような中間的な名詞もあります。
(9)a There was a silence in the room.
(部屋は静寂に包まれていた。)
b There was a moment of silence.
(一瞬の静寂があった。)
例えば(9a)の silence は a がついているので可算名詞のように扱われていますが、(9b)では a moment of silence で不可算名詞のように扱われています。普通名詞は必ず可算名詞と不可算名詞のどちらかとして文法的に振る舞うわけではなく、その中間に位置する名詞もあることに注意してください。
参考文献
中山仁(2016)『ことばの基礎1 名詞と代名詞 〈シリーズ〉英文法を解き明かす―現代英語の文法と語法①』7-21頁.研究社
安井稔・安井泉(2022)『英文法総覧 大改訂新版』92-111頁.開拓社

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