6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

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令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

問1 Can-do

 「書く前」のところに「あなたのふるさとの有名な場所などについて300字ぐらいで」とあります。この活動は故郷の有名な場所を紹介する作文を書く活動のようですが、選択肢を見ると一応全てが故郷を紹介する文章を書かせる活動をしています。この情報だけだと答えが絞れなさそう。

 この問題で注目すべきは「CEFR A2レベル」。ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)は言語能力の測定基準を示していて、低いほうからA1、A2、B1、B2、C1、C2の6レベルに分けられています。出題されているA2レベルは、JLPTでいうN4相当でかなりの初級です。そんなに難しいことはできません。各選択肢の中からこれは初級だろうって思われるものを探します。

 1 「詳しく明瞭な」は明らかにN4じゃなさそう
 2 「複数の紹介」「一つの流れにまとめた」はN4には無理そう
 3 「自分の経験」を書くのもN4は厳しそうなのに、それを関連づけるのはもっと無理そう
 4 「短い簡単な文」はN4でもできそう!

 したがって答えは4です。

問2 マインドマップ

 マインドマップはこんな図のことです。考えていることを書き出して整理するようなときに使います。
 答えは2

問3 ピア・レスポンス

 ピア・レスポンスとは、学習者がペア、あるいはグループでお互いの作文を読み合い、良いところや直したほうがいいところを伝え、そのフィードバックをもとに書き直す活動のことです。書く能力とコミュニケーションを一緒に伸ばせる活動。

選択肢1

 ピア・レスポンスは学習者間で書いた作文を添削し合うような活動です。仮に2人の能力が著しく離れていた場合、レベルが低い学習者は高い学習者のアドバイスを聞き取れなかったり、理解できなかったりします。ピア・レスポンスでのペアはレベルが近いほうが効果的であることが多いです。この選択肢は間違い。

選択肢2

 正しい。何を書いているか分からない部分などは指摘される可能性があるので、その時点で自分の言いたいことを整理する必要がでてきます。

選択肢3

 正しいです。他人の作文に意見する過程で自分の作文を見直すきっかけになるかもしれません。

選択肢4

 その通りです。それまでは作文書いて先生に出して終わりーという流れですが、実際目の前に読んでくれる人がいるとなるとちゃんと書こうとか、分かりやすく書こうとかそういう意識が生まれます。これが読み手を意識した活動に繋がります。

 したがって答えは1です。

問4 教師によるフィードバック

選択肢1

 これは完璧なフィードバックです! 学習者の作文を直すのって実はかなり苦労します。単語レベルの間違いもあるし、文型レベル、談話レベルの間違いもあります。部分的に訂正するのか、全体的に訂正するのかで教師の疲れも変わります。”原文を生かしながら”不自然な部分を添削できるとすればそれは作文添削の神。

選択肢2

 「不公平が生じないように」は意味不明。学習者によって苦手な部分は違うし、間違う部分も違うし、当然添削の仕方は変わってきます。書かれている内容は全部違うんだから全部同じように添削はできない。

選択肢3

 自分の作文を隅々まで添削されたらやる気を失うって人もいるでしょうけど、意味不明なほど間違っている部分は添削してあげないといけない。意味は分かるけど小さな誤りくらいは許容することも場合によってはあるかもしれないけど。

選択肢4

 優れた点をちゃんと褒めてあげるのも重要だし、間違っている部分をちゃんと指摘してあげるのも重要。どっちが重要とかはなく、どっちも重要です。

 答えは1です。

問5 ポートフォリオ

 ポートフォリオは、学習者の学習過程で得た成果物をファイリングした学習記録のことです。成果物を集めておいて、全体的な成長を見るときに役立ちます。

 1 学習過程のものも最終的な作品も残します。
 2 これが答え。
 3 配った教材は保存しません。学習者の成果物を保存します。
 4 ポートフォリオは学習者自身が管理します。先生はそれを見て評価に活かします。

 答えは2です。




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