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令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題9解説

目次

令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題9解説

問1 異文化間葛藤

 異文化間葛藤について参考文献にあたってから更新します。
 とりあえず後回し。

 答えは3です。

問2 直接・双方向方略

 ファルボとペプローによると、葛藤解決方略は相手に対して自分の欲求を直接的に表現するか間接的に表現するか(直接-間接)、相手の欲求に対してどれだけ配慮するか(双方向-一方向)で4つに分類されます。

直接・双方向 説得、交換取引、妥協…
直接・一方向 依頼、哀願…
間接・双方向 暗示、印象操作…
間接・一方向 批判、泣く、無視…

 ここで問われているのは直接・双方向方略です。

 1 「静かにしてください」は依頼なので直接・一方向方略
 2 「我慢からの引っ越し」は間接・一方向方略
 3 「私は10時に寝ますよ(だから静かにして)」って間接発話行為みたい。暗示、印象操作みたいなことなので間接・双方向方略
 4 「説得」という言葉もあるし、ルールを作るというのも交換取引にあたりそう。これが直接・双方向方略。

 よって答えは4です。

問3 ジョハリの窓

 ジョハリの窓(Johari Window)はジョセフ・ラフト(J.Luft)とハリー・インガム(H.Ingham)によって考案された、自己開示について客観的に捉えるための枠組みのことです。自分が知っているかどうか、他人に知られているかどうかで4つの枠組みに分けられます。

自分が知っている 自分が知らない
他人に知られている 開放の窓
オープンな部分
盲目の窓
盲目な部分
他人に知られていない 秘密の窓
隠れた部分
未知の窓
未知の部分

選択肢1

 頑固なのは秘密の窓が大きい人ではないかと思われます。(要検討)

選択肢2

 「盲目の窓」は自分が知らなくて周囲が知っている部分だから、周囲からその部分について反応があったとしても自分は理解できません。つまり他人の反応に対して感受性高く反応できません。この選択肢が答え。

選択肢3

 「開放の窓」は本人も周囲も知っている部分だからこの選択肢は間違い。

選択肢4

 「秘密の窓」は自分が知っていて周囲が知らない部分だからこの選択肢は間違い。

 答えは2です。

問4 偏見

 特定の集団に対する知識をステレオタイプといい、ステレオタイプに否定的な評価や感情が加わると「〇〇は✕✕だ」のような偏見が生まれます。偏見が強まると差別意識が生じて、行動にうつると差別行動となります。

 1 否定的感情がある状態は偏見
 2 自集団を優位にするために他集団をおとしめるので、これは偏見
 3 排除行動は差別
 4 否定的に捉えるのは偏見

 したがって答えは3です。

問5 集団間の再カテゴリー化を促す活動

 カテゴリー化とは、対象を最も類似した過去の記憶に基づいて、その対象の持っている属性や性質を推測することで生じる分類のことです。人は認知能力に限りがあるため、カテゴリー化により最小の認知的努力で最大の情報を得ようとします。集団はカテゴリー化されることが多く、それによって内集団と外集団の違いが鮮明となることで偏見や差別が生まれるとされます。

 偏見を低減するために、問題文ではすでに形成されているカテゴリーをカテゴリー化し直すことが下線部Eで言及されています。これに関する問題です。

選択肢1

 同じ大学にいる学生でも日本人学生と留学生では何となく壁があるというか、カテゴリー化されて別々のカテゴリーに属していることが多いです。この2つの集団が一緒に模擬店を開くと同じ集団であることをより意識するようになって、カテゴリーを再構築できるかもしれません。これが答え。

選択肢2

 違いを強調すると内集団と外集団の違いがより鮮明になるので、カテゴリーの違いを強く感じさせるかもしれません。この選択肢は間違い。

選択肢3

 留学生は日本での生活に困難を感じることがあるからサポートしてあげようみたいな考えは良いことですが、それによってサポートする側、サポートされる側などの集団の境界線をより意識することになり、カテゴリーの違いを強く感じさせるかもしれません。この選択肢は間違い。

選択肢4

 各文化の紹介は各文化の違いを鮮明にするのでカテゴリーの違いを強く感じさせるかもしれません。この選択肢は間違い。

 したがって答えは1です。

 




コメント

コメント一覧 (2件)

  • 題3は、選択肢1と2で少し悩みましたが、2にしました。
    盲目の窓、みんなはわかってるけど、自分だけわかってない、つまりKYってことですよね。
    だから、他人の自分への反応にもあまり気づけない。
    平成29年度の問題の答えも「盲目」の窓の大きい人は、周りの雰囲気に疎く頑固である、でしたし。
    平成29年度の選択肢4「未知の部分が大きい人は自分の他者に対する反応への感受性が高い」が
    適当でないとされているのは、「高い」の部分ではないかと思います。
    自分もわからないけど、みんなだってわからない部分なのだから、感受性は高いわけではないけど、
    低いわけでもないのでは?
    特に感受性が低いわけでもないので、今年の選択肢1のように「他人の意見を聞こうとせず、頑固になる」
    とは言えないと思いました。

    でも考えてみれば、自分も知らないし他人も知らない部分って、誰もわからない部分でしょ?
    そんな部分の大きさって、いったい誰に測れるんでしょうね?

  • 問4、よくわからないまま、何となく4を選びました。
    多くの解答速報で2になっていたのですが、何がダメなのか、もやもやしていました。
    実際に行動をおこせば、差別! この説明ですっきりしました。 

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