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令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題16解説

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令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題16解説

問1 「国語教育」と「日本語教育」

選択肢1

 国語教育が何を指すかが微妙なんですが、少なくとも初等教育で「国語科」と呼ばれる教科が現れたのは1900年(明治33年)のことです。
 日本語教育のはじまりは、国外で言えば国内で言えば宣教師が渡来してきた16世紀後半ごろまで遡れます。
 この選択肢は間違い。

選択肢2

 国語教育は日本語母語話者に対する教育で、日本語教育は日本語が母語ではない学習者に対する日本語の教育のこと。
 この選択肢が答え。

選択肢3

 国語教育は学校の教科としての言葉の教育ですが、日本語教育は日本語が母語ではない学習者に対する言葉の教育です。
 この選択肢は間違い。

選択肢4

 政府が編集・発行の権限を有する教科書を国定教科書と言います。日本では1945年まで国定教科書が採用されていましたが、その後検定教科書に移行しました。
 検定教科書は文部科学大臣の検定を受けて出版され、小中高で使用される教科書を指します。
 現代の国語教育は検定教科書(教科書)が用いられます。また、日本語教育では市販の日本語教育に関する教科書や各日本語教育機関が独自に開発した教科書などが用いられます。
 この選択肢は間違い。

 したがって答えは3です。

問2 国語

 2020年1月18日の朝8時頃からNHKで放送されていた「チコちゃんに叱られる!」で、「日本語を国語というのはどうして?」ということについて説明していました。その内容をざっくりまとめますと以下のようになります。

 江戸時代は300近くの地域(藩)に分かれ、日本は独立国が集まった状態でした。場所によって言葉はバラバラで、当時は国から出ずに一生を終える人も多く、お国言葉だけで生きていた人が多かったそうです。なので江戸時代にははっきりとした共通語が存在しませんでした。
 幕末の頃になると色んな地方から人々が集まってくるようになったのですが、やはり言葉が違って通じなかったようで、中には単語単語で意思疎通を図ったり、「~候」などと書き言葉を話し言葉として用いることもあったようです。
 明治時代になると中央政府が全国を治めることになりました。明治20年代後半ごろに日本を一つの国にまとめ上げるために標準語が必要だという声が上がり、そのためにはどこの地域を標準語とするかを決めなければいけなかったそうです。そこで当時の言語学者たちが全国の方言を調べ、最終的に東京と京都が対立しました。当時は既に東京が首都だったので若い人たちは「東京で良いだろう」と、そしてかつて京都に都がおかれていた時代を生きていた人たちは「京都にしよう」と考えていたようです。それから標準語は決まることなく10年が過ぎ、京都派だった学者の多くが亡くなってしまったことから東京派の意見に傾き、明治37年に東京の教養ある人の使う言葉を標準語とすることが決まりました。
 ちなみにですが、「国語」という名前になったのは上田万年が「国語は国民の慈母なり」などと初めて使ったことから定着したそうです。

 なお「日本語を国語というのはどうして?」という問いの答えは「日本を一つにするため」でした。
 (※参考文献がテレビ番組ですみません…)

 1 上記の内容から、「国語」は確かに国民統合の象徴としての役割を担ったと言えます。
 2 標準語(国語)を決める過程でお国言葉は邪魔者でした。
 3 国語は現代日本語を広めるものなので古典とは関係なし。
 4 東京の教養ある人が使う言葉を標準語としました。その過程で語彙や文法が簡略化されることはなかったし不可能。

 よって答えは1です。

問3 標準語

 1 1935年に作成された『放送用語の調査に関する一般方針』を指していると思われます。
 2 分からないけど正しいみたい。
 3 分からないけど正しいみたい。
 4 標準語や共通語と対立する概念は方言です。この選択肢が間違い。

 答えは4です。

問4 言文一致体の成立

選択肢1

 南部義籌は『文字ヲ改換スル議』を建白し、漢字を廃止し、ローマ字で日本語を綴るべきだと主張しています。
 この選択肢は間違い。

選択肢2

 正しいです。二葉亭四迷や山田美妙、尾崎紅葉らが小説に口語を取り入れることを試みました。それ以前は文章を書く時は全て文語文が用いられています。

選択肢3

 学制の公布には人々が自立して生活手段をたてるために小学校を義務化し、国民皆学を目指す内容が書かれています。
 この選択肢は間違い。

選択肢4

 大日本帝国憲法と同じく文語体・漢字片仮名交じり文で記されていたそうです。
 この選択肢は間違い。

 答えは2です。

問5 日本語教育に関する事業

 1 青年海外協力隊は国際協力機構がやってるので間違い
 2 中国帰国者に対する支援を行っているのは中国帰国者支援・交流センター(旧中国帰国者定着促進センター)だから間違い
 3 国立国語研究所は海外との学術交流は行っていますが、日本語教師の派遣は行っていません。
 4 正しいです。

 答えは4




コメント

コメント一覧 (5件)

  • 問2
    この問題は奇問だと思います。 おっしゃる通り、国民統合の象徴としての役割を担った、という根拠はあまりないような気がします。 しかしながら、1が正答として発表されています。

    私は、消去法で1としました。 少なくとも2と4については、そのような事実はないと思います。 3も正答となり得る可能性はありますが、「思想の研究」というのが不正解のキーワードのような気がします。

    問3
    この問題は、他の3つの選択肢が正しいかどうかは別として、4が明らかに誤りであると言えます。 

    『国語学研究事典』では、現代語・方言の章で、標準語の意味と歴史の解説があります。それによれば標準語は「【意味】東京語を母胎にして作られ現実に全国で使われている共通語を、音韻・語彙・語法などあらゆる点についてさらに理想的に磨きあげた言語。(中略)」とあります。 少なくとも、対立する概念として普及したものではありません。

  • >明田高之さん
    コメントありがとうございます!
    問題2に関しては解決したような気がしています。NHKの番組からヒントを得られました。
    標準語成立の過程まで出題するとは驚きました。

  • こんにちは
    試験Ⅲ 17の記述問題ですが、先生は
    どのように組み立てて書いておられますか?
    元年の問題にかかわらず、ですが。

    • >渡辺彩子さん
      お答えします!
      何を書いたのかは覚えていないのですが… いつも気を付けていることは専門的な知識と関連づけることです。
      学生は一字一句聞いて理解しようとするあまり、理解できない部分が来たらあきらめてしまうきらいがあるよう。であれば学習ストラテジーの補償ストラテジーと関連させられそうです。この学生はまさに補償ストラテジーが使えていません。このストラテジーは分からない部分がきたら、前後の文脈から推測したりするような戦略のことです。
      ですから一部分を聞いてそのあとを推測させるような授業をしたりして、推測させるような癖をつけさせるとか… インフォメーションギャップがあるような、具体的にはジグソー練習なんかどうでしょう。あるいは見出しだけ見て内容を予測させるような活動、スキミングとか。
      「保障ストラテジー」「インフォメーションギャップ」「ジグソー練習」「スキミング」みたいに、試験ⅠにもⅢにも出てくるような用語を並べて書くとある程度知識があることも、どうしてそうするのかの理由も伝わります。採点する人はそういうのが好きそうな気がしますね。

      なので試験Ⅰ、試験Ⅲをしっかり学んでいれば、記述はそれほど書くことに困らないのではないかと感じています。

      • ありがとうございます!
        過去問、練習問題など、模範解答を読むと、うわ~絶対無理!
        と感じてしまいますが、回答は一つでは無い、と考えても大丈夫かも・・ですね?
        がんばります!

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