令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(6)解説
(6)転成名詞の意味
造語法の一つに、既存の語の品詞を変えて新しい語を作る「転成」という方法があります。例えば名詞「沼」は「る」をつけて動詞「沼る」なんて使われ方をするようになってます。品詞も変わってます。こういうやつが転成です。
そして転成名詞とは、転成した結果名詞になった語を指します。
転成名詞の作り方は以下の3つに分けられるようです。
動詞の連用形が名詞になったもの | 流れる→流れ、話す→話、蹴る→蹴り… |
---|---|
イ形容詞の連用形が名詞になったもの | 近い→近く、遠い→遠く… |
イ形やナ形語幹に接尾辞をつけたもの | 痛さ、親切さ、辛み、寒け… |
ここまでがまずこの問題を解くときの知識。
次に選択肢を見てみます。
1 かばん持ち(かばんを持つ人)
2 所帯持ち(所帯を持つ人)
3 金持ち(金を持つ人)
4 心持ち(心の持ち方)
5 力持ち(力を持つ人)
各選択肢は動詞「持つ」の連用形「持ち」が名詞になったものです。意味を見ると、選択肢4だけ「~の持ち方」という意味になっています。転成前の意味と転成後の意味が違っています。
転成前 | 転成名詞 | 転成名詞の意味 | |
---|---|---|---|
1 | かばんを持つ | かばん持ち | かばんを持つ人 |
2 | 所帯を持つ | 所帯持ち | 所帯を持つ人 |
3 | 金を持つ | 金持ち | 金を持つ人 |
4 | 心を持つ | 心持ち | 心の持ち方 |
5 | 力を持つ | 力持ち | 力を持つ人 |
したがって答えは4です。
コメント
コメント一覧 (2件)
こんにちは。
そら豆です。
いつも丁寧な解説をありがとうございます。
接尾辞がついて名詞になったもの、について質問です。
痛さ、親切さ、辛み、寒け、これらは名詞に変化していますが、
イ形容詞の「楽しい」に「げ」がついた「楽しげ」は、
名詞ではなく、ナ形容詞では?と思うのですが。。。
「楽しさ」なら転成名詞なのかな〜、と。
いかがでしょうか。
>そら豆さん
ご指摘ありがとうございます!
たしかに「楽しげ」はナ形容詞ですね… 修正いたしました。