女房詞(女房ことば)
女房詞(女房ことば)とは、15世紀初め頃の室町時代から使用された位相語の一種で、京都御所に仕える女官(女房)が仲間内で用いた独特なことばのことです。食べ物などを婉曲的に言うことで上品な言葉遣いとされました。
(1) しゃもじ(杓子)
(2) すもじ(鮨)
(3) ひもじ(ひだるし:苦しいの意)
(4) こもじ(鯉)
(5) ふもじ(鮒)
(6) たもじ(蛸)
(7) おでん(田楽)
(8) おひや(水)
(9) おかず(菜)
(10) おつくり(刺身)
(11) おなか(腹)
(12) おつけ(汁)
(13) おから(御殻)
(14) おつまみ(漬物)
例(1)~(6)のような語の1拍目に接尾辞「もじ」をつけた文字詞(文字ことば)や、接頭辞「お」をつけた例(7)~(14)などが特徴的です。
参考文献
沖森卓也(2010)『はじめて読む日本語の歴史』237-238頁.ベレ出版
米山明彦(2018)「位相と位相語」『朝倉日本語講座4 語彙・意味140-141頁,朝倉書店
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