6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

「可愛い」は「可愛そう」と言えないのはなぜ?

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日本語Q&A

質問者さん
(日本)

「かわいい」はどうして「かわいそう」と言えないのでしょうか。

管理人

 「~そう」の用法の一つとして、実際に自分の目や耳で観察したものから推測される主観的な推定を述べる用法があります。「かわいい」は一目見れば分かる属性ですので推定する必要はありませんから、「かわいそう」ということはできません

ぱっと見で分かる属性は推定できない

 述べ方はその情報をどのように得たかによって変わります(証拠性)。例えば、自分の目で実際に見て推定する場合には「おいしそう」「おいしいようだ」などと言い、誰かから情報を聞いて得た場合は「おいしいらしい」「おいしいそうだ」と言います。このご質問に関係する「~そう」は自分の目や耳で捉えたものから推測される主観的な推定を述べるので、推定する必要のない属性については使うことができません。

 (1) *【女性を見て】彼女はかわいそうだ。   (「可愛い」と推定する)
 (2) *【ボールを見て】それは丸そうだ。    (「丸い」と推定する)
 (3) *【リンゴを見て】このリンゴは赤そうだ。 (「赤い」と推定する)

 目の前にそのものがあり、ぱっと見でその属性を有していることが誰の目から見ても明らかである場合、属性について推定することはできません。したがって、「かわいい」のように一目見れば分かる属性を表す形容詞には「そう」をつけて「かわいそう」ということはできないということです。決して「可哀そう」と語彙的に競合しているからではありません。

参考文献

 特になし




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