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二重敬語とは?

二重敬語

 一つの語について、同じ種類の敬語を二重に使ったものを二重敬語と言います。例えば「おっしゃられる」は、「言う」の尊敬語「おっしゃる」に尊敬表現「~られる」をつけたもので二重敬語です。過剰敬語と呼ばれることもあります。

 (1) 食べる
 (2) 召し上がる         (「食べる」の尊敬語「召し上がる」)
 (3) 召し上がりになる     (+尊敬語「お~になる」)
 (4) お召し上がりになられる   (+尊敬語「~れる」

 (4)「お召し上がりになられる」は「食べる」の尊敬語「召し上がる」に尊敬語「お~になる」と「~れる」を加えたもので、一つの語に3つの尊敬語が使われています。同じ種類の敬語を3つ使っているので三重敬語と呼べそうですが、これらも一般に二重敬語に含めることが多いです。その場合は、一つの語について、同じ種類の敬語を複数使ったものを二重敬語と呼んでいるわけです。二重敬語は一般に適切ではないとされますが、「お召し上がりになる」「お見えになる」「お伺いする」「お伺いいたす」「お伺い申し上げる」のような習慣として定着しているものもあります。

 人間関係や立場を過剰に意識する場面では二重敬語が使われる可能性が高くなります。簡潔かつ必要最低限の敬語表現を用いればいいという考え方においては「おっしゃる」で十分ですが、敬意を高めようとしているのか、そうした表現主体の意識を考慮すれば二重敬語は必ずしも否定的には捉えにくい側面があります。

参考文献

 蒲谷宏,川口義一,坂本惠(1998)『敬語表現』187-191頁.大修館書店
 文化庁(2007)『敬語の指針』(https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf




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