6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題12解説

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平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題12解説

問1 公用語

選択肢1

 これが公用語の説明です。公用語とはその国において公の場での使用が定められている言語のことで、公的機関にはこれを用いる義務が課されます。公用語は一つの言語とは限りません。

選択肢2

 リンガフランカの説明です。リンガフランカとは異なった言語を話す人や集団同士の意思疎通に用いられる共通語のことです。日本語を学習している中国人と韓国人が意思疎通するために日本語を使用するとき、日本語が彼らのリンガ・フランカにあたります。現代では英語が全世界に広く普及しているため、単に英語のことを指すことが多くなっています。選択肢の「意思疎通のために便宜的に」がヒントになります。

選択肢3

 標準語のことじゃないかと思います… (たぶん)
 共通語と標準語は現在では同じ意味として用いられることが多いんですが、もともと定義が異なります。共通語は元々、同一言語を用いる文化圏で生活環境や方言の異なる者同士が、全国どこでも誰とでも意思疎通することができる言語(リンガ・フランカ)のことを指します。でも標準語は共通語よりも洗練され、人々への使用の強制力を有する最も規範的な言語のことです。
 文法・語彙面の基準がちゃんとあってという部分が「最も規範的な」と一致する気がしています。

選択肢4

 これは「国語」の記述です。
 明治時代になって中央政府が全国を治めるようになり、明治20年代後半ごろに日本を一つの国にまとめ上げるために標準語を決めようとする動きがありました。その後「標準語」は「国語」という呼び方に変化します。つまり国語は国を一つにまとめるためのものなんです! 国家統一として発達、国民統合の象徴としての役割がありました

 したがって答えは1です。

問2 現代仮名遣い

 現代仮名遣いについては「現代仮名遣い:文部科学省」に詳しく書かれてます。

選択肢1

オ列の長音は、オ列の仮名に「う」を添える。

 ⇒ 工事(こうじ)

次のような語は、オ列の仮名に「お」を添えて書く。

 ⇒ 氷(こおり)

選択肢2

動詞の「いう(言)」は、「いう」と書く。

選択肢3

次のような語は,エ列の長音として発音されるか,エイ,ケイなどのように発音されるかにかかわらず,エ列の仮名に「い」を添えて書く。
例 かれい せい(背)
かせいで(稼) まねいて(招) 春めいて
へい(塀) めい(銘) れい(例)
えいが(映画) とけい(時計) ていねい(丁寧)

選択肢4

次のような語の中の「じ」「ず」は,漢字の音読みでもともと濁っているものであって,上記(1),(2)のいずれにもあたらず,「じ」「ず」を用いて書く。
例 じめん(地面) ぬのじ(布地)

 ⇒ 地震(じしん)

同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」
例 ちぢみ(縮) ちぢむ ちぢれる ちぢこまる

 選択肢1だけ正しいです。
 したがって答えは1です。

問3 当用漢字表

 「文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 国語審議会(終戦~改組) | 当用漢字表」には、当用漢字表を議決した目的としてこのように述べられています。

この表は,法令・公用文書・新聞・雑誌および一般社会で,使用する漢字の範囲を示したものである。

 選択肢3の「公用文書」「新聞」が上記と一致します。
 したがって答えは3です。

問4 訓令式ローマ字

 ローマ字のつづり方は訓令式とヘボン式があります。
 この2つの違いは し/ち/つ/ふ/じ/しゃ行/ちゃ行/じゃ行 を見れば分かります。

しゃ ちゃ じゃ
訓令式 si ti tu hu zi sya tya zya
ヘボン式 shi chi tsu fu ji sha cha ja

 1 「つき」は訓令式で「tuki」 正しいです。
 2 「ふね」は訓令式で「hune」、ヘボン式で「fune」です。
 3 「はし」は訓令式で「hasi」、ヘボン式で「hashi」です。
 4 「じゃま」は訓令式で「zhama」、ヘボン式で「jama」です。

 したがって答えは1です。

問5 送り仮名の指導

選択肢1

 複合語のうち、「申込」などの名詞は慣用に従って送り仮名を付けません。
 参考:文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 内閣告示・内閣訓令 | 送り仮名の付け方 | 本文 通則7

選択肢2

 「終わる/終る」のように、読み間違えるおそれのない場合は送り仮名を省くことができます。
 参考:文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 内閣告示・内閣訓令 | 送り仮名の付け方 | 本文 通則2

選択肢3

 「向う」は間違いです。「向かう」と表記します。
 参考:文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 内閣告示・内閣訓令 | 送り仮名の付け方 | 本文 通則2

選択肢4

 「当たる/当る」のように、読み間違えるおそれのない場合は送り仮名を省くことができます。
 参考:文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 内閣告示・内閣訓令 | 送り仮名の付け方 | 本文 通則2

 したがって答えは3です。




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