平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題12解説
問1 公用語
選択肢1
これが公用語の説明です。公用語とはその国において公の場での使用が定められている言語のことで、公的機関にはこれを用いる義務が課されます。公用語は一つの言語とは限りません。
選択肢2
リンガ・フランカの説明。異なった言語を話す人や集団同士の意思疎通に用いられる共通語のことです。日本語を学習している中国人と韓国人が意思疎通するために日本語を使用するとき、日本語が彼らのリンガ・フランカにあたります。現代では英語が全世界に広く普及しているため、単に英語のことを指すことが多くなっています。選択肢の「意思疎通のために便宜的に」がヒント。
選択肢3
標準語のことじゃないかと思います… (たぶん)
選択肢4
これは「国語」の記述です。
明治時代になって中央政府が全国を治めるようになり、明治20年代後半ごろに日本を一つの国にまとめ上げるために標準語を決めようとする動きがありました。その後「標準語」は「国語」という呼び方に変化します。国語は国を一つにまとめるため、国民統合の象徴としての役割がありました。
答えは1です。
問2 現代仮名遣い
『現代仮名遣い』に詳しく書かれてます。
選択肢1
オ列の長音は、オ列の仮名に「う」を添える。
『現代仮名遣い 本文 第1(原則に基づくきまり)』には、オ列長音は原則として「う」で表すことが書かれています。だから「工事」は「こうじ」と書きます。しかし、『現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)』には「次のような語は,オ列の仮名に「お」を添えて書く。」と特例が設けられており、その例の中に「氷」を「こおり」と書くとあります。だからこの選択肢が答え。
選択肢2
動詞の「いう(言)」は、「いう」と書く。
「行く」の現代仮名遣いに関する記述はありませんが、ご存じの通り「いく」と書きます。ただし、『現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)』には上述のように書かれており、「言う」は「いう」です。「ゆう」は口語上の発音であり、表記ではありません。この選択肢は間違い。
選択肢3
次のような語は,エ列の長音として発音されるか,エイ,ケイなどのように発音されるかにかかわらず,エ列の仮名に「い」を添えて書く
『現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)』の付記にはこのように書かれており、その例として「えいが(映画)」と「とけい(時計)」があります。この選択肢は間違い。
選択肢4
次のような語は,「ぢ」「づ」を用いて書く。
『現代仮名遣い 本文 第2(表記の慣習による特例)』には上記のように書かれており、その例に「縮む」を「ちぢむ」と書くことが定められています。その後の[注意]欄には「地」を「じ」と表記するようありますので、「地震」は「じしん」。この選択肢は間違い。
答えは1です。
問3 当用漢字表
『文化庁 | 国語施策・日本語教育 | 国語施策情報 | 国語審議会(終戦~改組) | 当用漢字表』には当用漢字表を議決した目的としてこのように述べられています。
この表は,法令・公用文書・新聞・雑誌および一般社会で,使用する漢字の範囲を示したものである。
選択肢3の「公用文書」「新聞」が上記と一致。
答えは3です。
問4 訓令式ローマ字
1 「つき」は訓令式で「tuki」 正しいです。
2 「ふね」は訓令式で「hune」、ヘボン式で「fune」
3 「はし」は訓令式で「hasi」、ヘボン式で「hashi」
4 「じゃま」は訓令式で「zhama」、ヘボン式で「jama」
答えは1です。
問5 送り仮名の指導
選択肢1
『送り仮名の付け方 複合の語 通則7』には「複合の語のうち,次のような名詞は,慣用に従って,送り仮名を付けない。」とあり、その例に「申込」があります。この選択肢は間違い。
選択肢2
『送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則2』には「読み間違えるおそれのない場合は,活用語尾以外の部分について,次の( )の中に示すように,送り仮名を省くことができる。」と書かれており、その例に「終わる〔終る〕」を挙げています。つまり「終わる」と書いてもいいし、「終る」と書いてもいいってこと。この選択肢は間違い。
選択肢3
『送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則2』には「向かう」と書かれています。「向う」ではなく「向かう」に修正するのは正しい。この選択肢が答えです。
選択肢4
『送り仮名の付け方 単独の語 1 活用のある語 通則2』には「読み間違えるおそれのない場合は,活用語尾以外の部分について,次の( )の中に示すように,送り仮名を省くことができる。」とあり、その例に「当たる〔当る〕」とあります。「当り」でも「当たり」でもいいのでこの選択肢は間違い。
答えは3です。
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