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平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

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平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

問1 背景知識を活性化させる活動

 授業の流れによれば、「格差社会」について書かれた3つの社説を読む前に話し合いを行うそうです。突然「はい社説、じゃあ皆さん読んでください」という授業のはじめ方をすると、学習者は戸惑ってしまいます。読ませる前に、「格差とは何ですか? 知ってますか?」とか、「みなさんの国では格差がありますか?」とか、そういう導入的な質問を投げかけ、あらかじめ背景知識を活性化させておくと、スムーズに社説を読む活動へ移ることができます(→プライミング効果)。

 1 格差社会とは関係ないことについて話し合っているのでダメ
 2 格差社会とは関係ないことについて話し合っているのでダメ
 3 格差社会について知っていることや経験を話し合っておくと背景知識を活性化させられます
 4 格差社会とは関係ないことについて話し合っているのでダメ

 答えは3です。

問2 論旨を正確に理解させるための指導

選択肢1

 社説はその新聞社の見解を書く部分ではありますが、しばしば物事を順序立てて考え、論理的に書かれる傾向があります。したがってその論理関係を接続表現などからしっかりと読み取らせる指導は有効です。

選択肢2

 その段落で最も述べたいこと(中心文)から論の展開をつかませる指導は有効です。

選択肢3

 要点を箇条書きにする活動なので、特定の情報を探し出すスキャニングよりも、ざっと目を通して大意を理解するスキミングが求められます。「スキャニング」が間違い。

選択肢4

 スキミングをするだけだと大意を理解するだけで正確な理解はできないですが、その後に再度詳しく読むよう指導するのは有効です。

 答えは3です。

問3 発表用スライドを作成する際に指導する内容

選択肢1

 スライドを文章ばかりで構成すると情報量が多くなるので読み手にとって分かりにくくなります。箇条書きや体言止めを用いて重要な情報だけスライドに載せて、余計な情報は切り捨てるような作り方をすると分かりやすくなります。この選択肢は適当。

選択肢2

 スライドは文字だけでなく、矢印や図などを使うと視覚的に分かりやすくなるのでこの選択肢は適当。

選択肢3

 今なんの話をしているのかが分かるよう見出しをつけると分かりやすくなります。この選択肢は適当。

選択肢4

 詳細に文字化しちゃうと情報量が増えるので分かりにくくなります。要点だけスライドに書いて、あとは口頭で説明すべき。

 答えは4です。

問4 発表で留意する点

選択肢1

 正しいです。

選択肢2

 客観的に伝える必要があるなら発話の一部分を際立たせるプロミネンスは使わないほうがいいかもしれませんが、この活動はグルーうで話し合った内容を発表するので主観的で構いません。だからプロミネンスは要所要所に置いて大丈夫。この選択肢は間違い。

選択肢3

 上級レベルとはいっても日本語母語話者じゃないし、次から次へと日本語がすらすら出てくるわけじゃないので、フィラーは回避できません。また、適度な言いよどみは当該発話に注意を向けさせたり、次の発話の間を整える機能もあるので、適度に使えるといいと思います。この選択肢は間違い。

選択肢4

 発表は自分のことばで喋ったほうが臨場感が出ますから、原稿を一字一句読むようなことはやめたほうがいい。

 答えは1です。

問5 ディスカッションを活性化させるための働きかけ

 ディスカッションは、特定の答えのないテーマについて参加者で自分自身の意見を述べ合う活動です。ディスカッションを活性化、つまり盛り上がらせるためにどうすればいいでしょう。

 1 賛成と反対の立場があるテーマを用いるのはディベート。この選択肢は間違い。
 2 答えが一つのテーマだと意見がぶつからないので活性化しない。この選択肢は間違い。
 3 ディスカッション中に流れを止めて文法指導すると盛り上がりが失われるのでダメ。
 4 正しいです。何を議論するか明確にするのは重要。

 答えは4です。

 




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