平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題11解説

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平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題11解説

問1 文化相対論

 文化相対論文化相対主義とも呼ばれ、自分が属している文化を基準にして他文化を評価するようなことはせず、どんな文化でも優劣はないとする考え方のことです。

 選択肢4の内容がまさに文化相対主義の考え方。ポイントは「優劣はつけられない」。
 答えは4です。

問2 エポケー

 この問題はエポケー史上最難問でしょう。

 エポケーとは、異文化で問題が発生したときに、それを深刻に捉えることなく判断を一旦保留しておくことです。異文化関連の問題でよく出題される言葉なので、絶対覚えてください。

 1 相手の文句に共感してるのでエポケーではありません。
 2 相手に反対、なんか別のことに言い換えてるだけでエポケーではありません。
 3 相手がなんか文句を言ってて、これをどう扱うか悩んだ末に聞き返し、繰り返しを選びました。否定も肯定もせず、話を前進させることもなく一旦判断保留してます。
 4 相手に完全に同調してるのでエポケーではありません。

 エポケーは「ぼけーっとすること」、と覚える人もいるみたい。
 ぼけーっとする、つまり判断できない、判断保留する、と意味を繋げます。選択肢3を見ると、相手の話が耳に入っていないのかぼけーっとしている様子が見て取れます。
 こういう解き方も悪くないですね。

 したがって答えは3です。

問3 メタ認知ストラテジー

 ここで出題されている言語学習ストラテジーとは、言語学習するときに優れた言語学習者が行う学習を効率よく進めるためのストラテジーのことで、次の6つに分けられます。

直接 記憶 記憶するために用いる暗記、暗唱、復習、動作などの記憶術。新しい知識を蓄え、蓄えた知識の想起を支えるもの。
認知 記憶した情報の操作や変換に用いるストラテジー。リハーサルしたり、既知の要素を組み合わせて長い連鎖を作ったり、分析・推論するなど。または、より理解を深めたりアウトプットするためにメモ、要約、線引き、色分けなどをして知識を構造化するなど。
補償 外国語を理解したり発話したりする時に、足りない知識を補うために用いるストラテジー。知識が十分でなくても推測やジェスチャーなどによって限界を越え、話したり書いたりできるようになる。
間接 メタ認知 学習者が自らの学習を管理するために用いるストラテジー。自分の認知を自分でコントロールし、自ら学習の司令塔となって学習過程を調整したり、自分自身をモニターする。
情意 学習者が学習者自身の感情、態度、動機などの情意的側面をコントロールし、否定的な感情を克服するためのストラテジー。自分を勇気づけたり、音楽を聴いてリラックスしたりするなど。
社会的 学習に他者が関わることによって学習を促進させるストラテジー。質問したり、明確化を求めたり、協力したりするなど。

 1 社会的ストラテジー(他者がかかわっているから)
 2 情意ストラテジー(肯定的な評価で情意面を保っているから)
 3 認知ストラテジー(「分析」というのがキーワード)
 4 メタ認知ストラテジー(自分を客観視、モニターしているから)

 答えは4です。

問4 ラポール

 答えはラポール。カウンセラーの立場をとる山田先生と、クライアントとなるスミスさんの間に形成された信頼関係のこと。

 答えは2です。

問5 アサーティブ・コミュニケーション

 文章中では、「異なる意見を持つ相手に対して、攻撃することも卑屈になることもなく自分の考えを伝える」ような行動をアサーティブ・コミュニケーションと定義してます。各選択肢にお互いの意見を尊重しあうようなコミュニケーションが見られるかどうか確認します。

選択肢1

 「建設的」というのがポイント。相手の意見に対して攻撃してないし、ただ考えを伝えているのでアサーティブ・コミュニケーション。

選択肢2

 自分の気持ちを伝えるのはアサーティブ・コミュニケーションの特徴。

選択肢3

 これは違います。
 卑屈にならないで自分の意見をはっきり伝えるのがアサーティブ・コミュニケーションなのに、「はい」「いいえ」だけだと伝えたいことが伝えきれないかも。

選択肢4

 共感を示しつつ自分の意見を言う。アサーティブ・コミュニケーションです。

 答えは3




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