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平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題2解説

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平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題2解説

問1 対人的配慮を表す表現

選択肢1

 日本語では、目上の人の希望を直接聞くのは語用論的に不適切になることが多いです。「召し上がりたいですか」はちょっと差し出がましい感じ。ここでは希望を聞くのではなく、食べるか食べないかで「召し上がりますか」とすればいいと思います。この選択肢は学生が教師に言えない例です。

選択肢2

 目上の相手に能力を問うような表現は失礼にあたることがあります。どうしても聞きたいなら「敬語は得意ですか?苦手ですか?」のような聞き方なら角が立たないかも。この選択肢は学生が教師に言えない例です。

選択肢3

 目上の人の能力を直接褒めるのは危ないです。上から目線になるかもしれないから。ここでも「上手」を使っているので上から目線になっちゃってます。あまりこういう評価は言わないほうがいいかも。この選択肢は学生が教師に言えない例です。

選択肢4

 問題なし。

 答えは4です。

問2 不確かさを表すモダリティ表現

 モダリティとは、話し手の命題に対する捉え方や聞き手に対する心的態度を表す言語形式のことです。各選択肢の下線部が話し手の命題に対する不確かさを表しているかどうか見てみましょう。

 1 命題「そんなことはよくあること」に対する主観的な断定を表すモダリティ
 2 命題「今日友達の家に遊びに行く」という事態の許可を表すモダリティ
 3 命題「雨はもうそろそろやんでいる頃だ」に対する不確かさを表すモダリティ
 4 命題「往々にして娘は父親に似る」に対する断定を表すモダリティ

 答えは3です。

問3 多義表現の用法

 「~てくる」はたくさんの用法があるので、詳しくはリンク先をご覧ください。

 (1)移動時の状態
 (2)順次的動作
 (3)動作の継続(過去から現在まで)
 (4)少しずつ近づく
 (5)状態変化の開始
 (6)出現
 (7)こちらへの一方的な動作

 1 こちらへの一方的な動作
 2 発表されて話し手が驚いているようなニュアンスが感じられます。
 3 状態変化の開始
 4 こちらへの一方的な動作

 話し手の心情が含まれているのは2。
 答えは2です。

問4 初級段階で教えても、なかなか使えるようにならない文型

選択肢1

 「~てはいけません」は初級で学びます。動詞のテ形を学べばこの文型に自由に入れて使えるから。

選択肢2

 「じゃ」と「じゃあ」のような簡単な縮約形なら初級でも問題なく学べます。

選択肢3

 使役受身の「させられる」は、使役「させる」と受身「される」を習得していなければいけません。また仮に使役と受身を習得していても、使役受身を使う場面はそんなに多くないので… これが答えです。

選択肢4

 「~ましょう」や「~ませんか」は初級段階で学ぶもので、初級の学習者もマス形が入っていれば使うことができます。使う場面もわりと多めだし。

 答えは3です。

問5 存在の否定を表す文型

 次の写真は中国の大学で使っていた初級の教科書です。

 「ありません」が書かれていますが、「ないです」は書かれていません。どっちかというと「ないです」のほうが使用頻度が高いと思います。でもそれは教科書には反映されていないようです。
 よって答えは1です。




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