平成25年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題7解説
問1 JFLとJSL
JFL(Japanese as a Foreign Language)は、日本国内で生活に使う手段として学ぶ日本語のこと。
JSL(Japanese as a Second Language)は、海外の学校で外国語科目として学ぶ日本語のこと。
選択肢1
”F”を First、”S”を Second だと思った人はこれを選んでしまうかもしれません。でも”F”は Foreign。外国語としての日本語を指します。この選択肢は間違い。
選択肢2
JFLの環境では、学習者は日本にいて日本語を勉強していることになります。したがって日本語は自宅から出ると使われている言語だから「家庭内で使われる言語」という部分が間違い。正しくは「社会で使われる言語」です。
一方JSLの環境では、学習者は日本国外にいて日本語を勉強してます。だから日本語はその日本語の授業だけでしか使われていなくて、社会では使われていません。「社会で使われる言語」の部分が間違い。正しくは「教室で使われる言語」です。
この選択肢は間違い。
選択肢3
JFLは日本国内で日本語を学ぶ場合だから、子どもでも成人でも学ぶ可能性があります。親が子どもを連れてきたら、その子どもはJFLの環境で学ぶし、成人が日本にきて留学したり仕事したりするときもJFLです。
一方JSLは海外で日本語を学ぶ場合なので、多くの場合は高校生、大学生などです。年少者もいないことはないと思いますけど、主にこの層。
この選択肢は間違い。
選択肢4
これが答え。
答えは4です。
問2 JGP
JGP(Japanese for General Purposes)は学習者のニーズにもとづかない、一般的な日本語教育のこと。
JSP(Japanese for Specific Purposes)は学習者のニーズにもとづいた特定分野で使われる日本語を学ぶ教育のこと。
この2つは普通の日本語なのか、特定の場面で用いる日本語なのかで分けられます。
1 「簡単な読み書き」とありますので専門的ではありません。これはJGP。
2 接客業で使う日本語は仕事で用いる特別な言葉なのでJSP。
3 運転免許取得のために日本語は特別な言葉なのでJSP。
4 論文の書き方についての日本語は特別な言葉なのでJSP。
答えは1です。
問3 JSP
JSPは特定の領域で用いられる日本語のことです。例えばその学習者が日本のIT企業とかで仕事したいというニーズがあったとしたら、IT企業で使うような日本語を教えることになります。このときIT関係の日本語は一般的な日本語ではなく特別な日本語です。これをJSPと言います。
選択肢1
JSPの教育は学習者の明確なニーズに合わせて教育します。だから教師主導というよりは学習者主導になることが多いです。したがって教師が学習計画を管理するよりも、学習者自身が管理することも十分にあります。この選択肢は間違い。
選択肢2
免許取りたいという学習者にそれ関係の日本語を教えるとき、もちろん運転免許のことを知っている教師がいると良いですし、運転免許センターに勤めてたり、あるいはそっち方面に詳しい関係者が手伝ってくれるともっと良いです。この選択肢は正しい。
選択肢3
JSPはその学習者がどうしても必要だから学んでいるわけなので、理解よりも産出を優先したほうがいいです。
選択肢4
意味不明
答えは2です。
問4 特殊環境下での海外帰国児童生徒の日本語能力
この子どもは小学校低学年で海外に行き、家庭内だけで日本語を使っているってことなので、学校で日本語の読み書きを学ぶことなく育っています。よって文章の読み書きは苦手だと思われます。
答えは2です。
問5 日本での就職を考えている留学生対象のビジネス日本語教育
1 日本で仕事をするための態度や能力は必要。
2 必要です。母国と日本の仕事のやり方、考え方は違うので、そういう面を知っておくことは就職に役立ちます。
3 「日本で就職を考えている」とだけありますので、「ある特定の業種に必要な日本語」を教えるのは間違い。
4 必要です。対面だけでなく、電話やメールを扱う仕事もありますので。
答えは3です。
コメント
コメント一覧 (1件)
問3についてです。
選択肢1は、例えば、コンピューターのことについて学びたい学習者に対し、専門分野の教師、つまりコンピューターの教師が学習計画を管理しなければならない、という意味ではないでしょうか? 日本語教師ではなく。各分野に日本語教師はいませんよね。だから正解は2の日本語教師が、コンピューター関連の教師や関係者と連携していく、という事だと思います。