6月8日(土)から音声学の短期講座がはじまります。

平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題3解説

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平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題3解説

問1 「美しい」と「きれい」の使い分け

 1 「二人の友情は実にきれい」と言えませんので、使い分けがはっきりしています。
 2 「この写真は本当にきれい」と言えますので、使い分けがはっきりしていません。
 3 「油で汚れた手を美しく洗った」と言えませんので、使い分けがはっきりしています。
 4 「料理は美しくなくなった」と言えませんので、使い分けがはっきりしています。

 したがって答えは2です。

問2 類義表現の違い

基本形 命令形 意向形
慌てる 慌てろ 慌てよう
急ぐ 急げ 急ごう
変わる 変われ 変わろう
変える 変えろ 変えよう

 「慌てる」は無意志動詞のため、命令形や意向形にすることは難しいです。
 したがって答えは2です。

問3 使い分けのポイント

 1 「授業をサボる」と「授業を怠る」、「注意をサボる」と「注意を怠る」のようにヲ格名詞を入れ換えてみると、その違いがはっきり見えてきました。「サボる」は授業に使えて注意に使えない。「怠る」は授業に使えなくて注意に使える。
 2 「私がサボる」と「私が怠る」のガ格を入れ換えて「彼がサボる」「彼が怠る」としても、使い分けははっきりしません。
 3 「サボった」「怠った」と過去形にしても、使い分けは見えてきません。
 4 「サボりましたか」「怠りましたか」と疑問形にしても、使い分けは見えてきません。

 したがって答えは1です。

問4 「自分で言ったため、最後まで頑張るつもりです」

 理由を表す「ため」と「ので」を混同しています。この文における「自分で言ったため」は従属節(原因・理由節)です。
 したがって答えは3です。

問5 教師に必要な力

選択肢1

 正しいです。「注意をサボる」と「注意を怠る」のように、一方の表現しか使えないような例文を見つけると、その使い分けが見えてきます。

選択肢2

 学習者にわざわざ非文を提示する必要はありませんが、言葉の使い分けを見つけるため、わざと非文を作ることも必要です。

選択肢3

 コーパスとは、自然言語処理の研究に用いるための基礎資料として、書き言葉や話し言葉の自然言語の文章を構造化し、品詞や統語構造などの言語的な情報を付与して集積した大規模なデータベースのことです。コンピュータ利用が進み、電子化されています。
 コーパスには話し言葉をまとめたものや、書き言葉をまとめたものなどの種類があります。これをコーパスの代表性と呼び、話し言葉の用例を調べたいのであれば、話し言葉に関するコーパスを参照すべきです。代表性は尊重すべきです。

選択肢4

 正しいです。

 したがって答えは3です。




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